数年ぶりに激昂し、電話の電源をオフにして迎えた休日は探しものに当てる。
ミナミの洋書セールで英英辞書を大量に買い込む予定だったが辞書自体が1冊も見当たらず肩を落とす。 が、ラデュレで購入した贈り物用のマカロンは喜んでくれたようでなによりだった。 他に探していたのは、『高慢と偏見とゾンビ』と『辞書からはじめる英語学習』。 購入するかどうか迷っているのは、トニ・モリスンの『ビラヴド』とウィリアム・トレヴァーの『密会』。 <今週の読了本> ・『狼たちの月』(フリオ・リャマサーレス) 評価:☆☆☆☆ 『黄色い雨』以来、スペイン人作家、フリオ・リャマサーレスを読むのは2冊目。 前作品でも強く感じたのだが、この作家の書く文体から伝わってくる静謐さは他に類を見ない。 血生臭い暴力による死や貪るような肉感的な官能美すら、ただただ圧倒的な静謐さを放っている。 スペイン内戦が平凡な一市民を凶暴な狼に変えていく様を冷徹に描いた一冊。 ・『やさしい訴え』(小川洋子) 評価:☆☆☆☆ リャマサーレスに相応しい言葉が「静謐さ」だとすれば、小川洋子のそれは「淡さ」というところだろうか。 夫婦生活に限界を感じた女性の家出と不倫、極論すれば、それだけの話なのだが、 喜怒哀楽、全ての想いをただあるべきものとして甘美な薄膜で受け止める筆致が魅惑的。 全てを包み込むやさしさ故に、逃げ場がまったく存在しない残酷さを孕む。 そんな幸福と不幸がないまぜになった世界にどっぷりと浸れること請け合い。 もっと小川洋子を読んでみようという気にさせてくれる良作。 <ただいま読書中> ・『贄の夜会(上下)』(香納諒一) ・『Top of The World』 ・『カタコンベの復讐者』(P.J.ランベール)
by worthy42
| 2010-03-07 21:34
| 一冊入魂(読書記録)
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