出番を待つ

2011.3.11 以前と以後で大きく様変わりしたこの国と同じように、
私も未曽有の震災後、安穏としてはいられなかった。

新聞を数紙買いこみ、テレビとネットの情報をかき集めたが、
それでも少しの安心感も得ることができなかった。

もともと極度の高所恐怖症なせいもあってか、
震度3程度の揺れでも身の危険を感じるタチの私は、
会社の机で、家のソファで、浴室で、トラウマのように、
揺れている錯覚に悩まされ続けた。

筆舌に尽くしがたい恐怖は時間の経過とともに安らいだものの、
消し去りがたい不安感は、依然として脳裏にまとわりついたままだ。


それでも、ある音楽家が、今はまだ音楽のコンサートを被災地では行う段階にないが、
きっと音楽を必要とする時間が訪れるだろうから、「音楽の出番を待っている」と
新聞で書いているのを読んで、救われた気になった。


私の回復の「出番」もまだ今ではないのだ、と。
焦る必要はないのだ、と。


そうこうして心の回復に努めているうちに、私は伯父になった。
甥の名前には、図らずも私の名前が一文字使われている。

小さな小さな命の誕生という出番に救われた、春。
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by worthy42 | 2011-04-04 00:29 | 情熱と怠惰の断片(日記的)
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