5月の読了張

あれやこれやと忙しくて5月に読んだ本をいくつか思い出せないが、
それでもなかなかの良書揃いで読みごたえがあるものばかり。

なかでも集英社新書の『鯨人』(石川梵)は傑作だった。

・『鯨人』(石川梵)
評価:☆☆☆☆☆

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以前に新聞の書評で5つ星評価だったの見て気にかけてはいたのだが、
購入しようと決意した直接的なきっかけとなったのは、
和歌山県太地町で脈々と受け継がれている捕鯨を扱ったNHKのドキュメンタリーを見たことだった。

伝統というに及ばず、地元経済を支える重要な産業となっている捕鯨を生業にする人々が、
傲慢かつ理解不能な理由で妨害を続ける反捕鯨団体の不当な圧力に思い悩む様子を描いていた。

そんな経緯があったため、以前から興味を惹かれていた本書を購入したのだが、
本書で登場する捕鯨と太地町の鯨漁の方法は大きく異なる。

太地町では船団で鯨を浅瀬に追い詰めるのに対し、
本書のインドネシア・レンバタ島に暮らす人々は船の上から「えいやっ」とばかりと飛んで(文字通り)
鯨の急所に銛を一本打ち込むのだ。

この危険極まりない漁法での死闘は数時間にも及び、
そこには生と死の交錯した濃厚な香りが漂ってくるが、
それ以上に一種の命の(あるいは命を賭すことの)崇高さというか、神々しさのようなものを、
海上にいずとも机上でも感じずにはいられなかった。

鯨漁で成り立つレンバタ島独特の経済的な仕組みも、旧き良き日本を想起させて興味深い。

著者は写真家らしいので写真集の方もチェックしてみたい。


・『ロスト・シティZ 探検史上、最大の謎を追え』(デイヴィッド・グラン)
評価:☆☆☆☆

1925年にエルドラード(黄金郷だったっけ?)と呼ばれた南米・アマゾンの幻の都市「Z」を求めて消えた、
冒険家パーシー・ハリソン・フォーセットの軌跡を追ったノンフィクション。

フォーセットはあの「インディ・ジョーンズ」のモデルとなった人らしく、
二度と戻らなかった彼の行方は「20世紀探検史上、最大の謎」とされているらしい。

1900年代はアマゾンは世界中にわずかに残された神秘的な場所の1つとされていたらしく、
危険を顧みずにその未開の地を果てまで探ろうというロマンの虜にされてしまうのには共感できる。

この当時からの西洋人ならではの、先住民に対する傲慢な視点は鼻につくし、
当時のアマゾン探検の過程が想像以上に劣悪だったことに辟易してしまうが、
それでも、読後は、きっと誰もが似たような冒険(無理だけど)に思いを馳せることだろう。


・『獣の奏者3 探求編』
評価:☆☆☆☆
・『獣の奏者4 完結編』
評価:☆☆☆☆

筆者いわく、2作目でもともとは完結していた作品に、新たに着想を得て仕上げた一種の続編。

奏者エリンの現在、人間と王獣、闘蛇との関係、敵国ラーザとの戦争など
シリーズ読者なら気を揉んでいた「その後」のストーリーが余すところなく書かれていて圧巻の一言。
読後、不覚にもぼうっとしてしてその世界観に浸る羽目になってしまった。
子供用SFファンタジーと侮るなかれ。


<ただいま読書中>
・『幻獣ムベンベを追え』(高野秀行)
・『1Q84 BOOK 1』(村上春樹)
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by worthy42 | 2011-06-18 10:28 | 一冊入魂(読書記録)
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