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生き残るために

先日喫茶店で朝日新聞を読んで思わず購入してしまった。

米国では「脱ペーパー(新聞)」の動きが顕著で、実際に若者が新聞を毎日読む割合は31歳以上で35%、18~30歳でなんと16%という。18歳~30歳では新聞を日常の情報源として使っていない人が64%にも上るらしい。

一方で、NYタイムズの1ヶ月間のウェブサイトの閲覧者数は約1278万人、一人当たりの閲覧時間はおよそ30分でページビューは6億を誇っている。

新聞(紙)は読まないけれど、ウェブで新聞の内容は読む、という傾向が一段と強まってきているわけだ。

この流れを受け、NYタイムズは新聞部門とウェブ部門の垣根をなくし、デスクも24時間体制になり、ピュリッツァー賞受賞者の名物記者や花形記者もブログ専従になるという異動も当たり前になったという。

そして、先月中旬に平日版を値上げしたのに続き、
今週には用紙代節約のためにとうとう新聞紙面の縮小に打って出た。

新聞広告収入の減収と発行部数の低迷によりコスト削減が必要になったためで、
もはや増収が望めるのはネット広告収入だけとのこと。

ここまで追い詰められているのか、と正直驚かずにはいられなかった。

と同時に、「世界でもっとも影響力のある新聞」といわれ、世界のジャーナリズムを牽引しているNYタイムズのこのなりふり構わない窮余の策に日本のマスコミも学ぶところもあるのではないかと思う。

先日、以前働いていた某スポーツ紙の先輩と久しぶりに食事をした際にネットでの広告営業について聞くと、基本的には紙メインでネットは連動してもらうくらいで、積極的に仕掛けているわけではないという返事が返ってきた。その紙向けの広告にしても、新風営法や消費者金融絡みの事件といった影響を受けて、”お得意様”業界からの出稿が激減している。

実際に新聞の発行部数も低迷しているし、紙面での広告収入の減少の反動が賞与の減額という明確な数字にも現れてきたというのにもかかわらず、これといった打開策を打てていないということらしい。この期に及んでまだネットを軽視している部分もあるという。かといって紙面の縮小やタブロイド版への変更は、数億円の設備投資費が必要になるので難しい。

マイクロソフトのビル・ゲイツ会長は「5年以内ですべての新聞はオンラインになる」と断言している。

配達制度や発行部数の違いがあるし、スポーツ新聞と一般紙とはまた問題の規模が異なるので、すべてを同じ土俵で比べることはできないけれども、NYタイムズと同じ問題に悩まされながら、まだ有効な手立てを打てていない日本の新聞紙の未来は大丈夫なのか、と思わないではいられない。

やっぱり新聞紙が好きなので。
by Worthy42 | 2007-08-07 23:14 | ひとときの残滓(スポーツ)
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