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決定打

自然と口に出たそのことばが彼の無防備な心を抉る。

多分、それほどのことで心が揺らぐとは
彼自身、思ってもいなかったに違いない。

気付いて気付かないふりをしていたことを彼は悟らされる。

差し伸ばされた手を掴むより、
掴んだ手を離さないでいるより、
手を差し伸べることのほうが、
どれだけ難しいのか分かっていたつもりだったのに。


夏の日差しは依然として強い。

それが無性に眩しく感じるのは
きっと光のせいだけではない。

「そうだね」

彼はそう言って去っていった。そして彼女も。
by Worthy42 | 2007-08-15 19:40 | 情念の雷(心と言葉)
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