読書遍歴(後)

学生時代、まずハマッたのは、スポーツ・ノンフィクションと呼ばれるものでした。

金子達仁、二宮清純、佐瀬稔、山際淳司、梅田香子らに加え、
デビッド・ハルバースタムの『Playing for keeps』を読み耽ったのもこの頃でした。

今や本格ノワールの大家の一人、馳星周に出会ったのも
スポーツ雑誌のサッカーの記事や著作を介してでしたし、
Number、Sportiva、今は亡きSports Yeah を毎回買い漁っては
授業の教科書以上に真剣に読み解いていたものでした。

それと同時期に触手を伸ばしたのが、森博嗣でした。

洒脱な会話とある意味奇想天外なストーリが出色で、
子供の頃、探偵志望だったことを思い出して、
一時期、ほんとに探偵(刑事)になろうかとあらゆる方法を探ったりもしました。

ジャンルを広げて読もうと意識しだしたのも、確か、この時代でした。

桐野夏生、大崎善生、本多孝好ら(他多数)、
今ではあまり率先して読むことのない作家に手をつけたものです。
一発屋(一作品のみで読むことをやめた作家)の多くが、この頃に読んだ人です(笑)。

村上春樹、村上龍、宮部みゆきといった大御所たちも
図書館で借りまくった気がします。

社会人になって衝撃を受けた作品は、
ちょうど会社を辞めた直後に読み始めて(この時点で社会人ではない、笑)
滞在先のドイツで読み終えた沢木耕太郎の旅行記『深夜特急』です。
同じ旅行記で宮本輝の『ひとたびはポプラに臥す』は、
現地の友人に借りたのですが、これまた貪るように読みました。
読者の境遇が傑作をより身近なものにさせた一例でした。

帰国後から現在に至るまでは(ジャンルは偏っているものの)、
翻訳モノや新書に本格的に本腰を入れ始めたり、
食わず嫌いだった作家に手をつけるよう心がけました。

おかげで自分なりに読書の幅が広がってきたかなと最近では思っていますが、
そんななかで印象的な作品を挙げるとすれば、乙一の短編集『ZOO』。
作中に描かれている、底知れない闇の深さにただただ震えました。

そこそこ心を揺さぶる作品は割とありますが、
あれほどの衝撃を受けることは滅多にないんじゃないかなと今でも思います。
昔読んだもっと巧い良作のいくつかはすでに記憶から抜け落ちていますが、
あの一冊が心に残した影のようなものは今でも濃いままです。

今は森博嗣ブームが再燃していて、
刊行されている作品を全部読む(再読含めて)つもりでいますが、
落ち着いたら次は乙一に取りかかろうと考えています。


今年は春以降、月に15~20冊のペースで読み漁っていますが、
「出版社が身銭を切って出すんだから面白くないわけない」
「どんな本にも面白くない、つまらない箇所はある」
と、誰かが話していた言葉を信じてまた邁進する日々です。

(追記)
昔、読書メモを取らなかったことを激しく後悔。
数を読めば読むほど、繊細な読後感を残す作品ほど記憶から吹き飛んでしまっている。
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by Worthy42 | 2007-10-09 23:42 | 一冊入魂(読書記録)
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