瓦解の果て

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時間はいつもさまざまな傷を消し去る。時間は執拗に降り続く黄色い雨であり、
それが燃えさかる火を少しずつ消し去っていく。
けれども、記憶の裂け目とでも言うべき焚火が地中にあり、
乾ききったその焚火は地下深くで燃えていて、
死が奔流のように押し寄せてきても、消え去ることはない。
人はその記憶の火と共存しようとつとめ、その上に沈黙と錆を山のように高く積み上げる。
しかし、すべてを忘れ去ったと思った頃に、一通の手紙、一枚の写真が届くと、
それだけでも忘却の薄い氷は粉々に砕け散るのだ。

―『黄色い雨』(フリオ・リャマサーレス)
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by Worthy42 | 2008-01-27 18:04 | 美句妙文礼賛(魅惑の文言集)
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