今週の読了帳(03・17~03・23)

どこぞの指南書にあったけれど
乱読というのもひとつの読書の方法かもしれないと思うわけで。

例えば、私の場合だと、

①移動中に読む本、
②カフェで読む本、
③家で読む本、
④就寝前に読む本、

などと状況に応じて本を読み分けます。

新書やノンフィクションだったら①、
雑誌だったら②か③、
長編の小説だったら②か④、みたいに。

で、ちょうど今は①と④の本がない、というか、
読んではいるもののこれでいいのかなと迷っている段階で、
未読の本は嫌になるほどあるのに、
どことなく手持ち無沙汰な気持ちです。

取って置いた『百年の孤独』に手をつけようかな。


・『オリンピア―――ナチスの森で』(沢木耕太郎)
評価:AA

1936年、ナチス支配下のベルリン五輪を
その記録映画を製作し、生涯、親ナチス派の烙印を背負ったレニ・リーフェンシュタールと
日本人選手の動向を中心に追ったルポルタージュ。

当時の世界の主流ともいえる国粋主義・民族主義的状況下で
異常な重みのある「国家」という看板を背負わざるを得なかった
日本人選手の心情が何よりも痛々しい。

だが、もっとも胸に響いたのは、
ベルリン五輪で活躍したメダリストや、
あるいは次回の東京五輪(未開催)で雪辱を胸に誓った選手達が、
早い者は翌年に戦場で次々と命を落としていったという暗澹たる事実だ。

経済的な貢献がどうであれ、
中国みたいな民度の著しく低い野蛮な虐殺国家で
五輪を開催すること自体に大反対なのだが、
それでも五輪をボイコットすべきだとは軽々しく言えないのは、
アスリートが躍動する4年に一度のチャンスを奪った
こういう悲劇的な事実を忘れるべきではないし、繰り返してはならないと思うからだ。

優秀なアスリートにさえ戦地での死が当然のようになってしまった時代、
その戦争の萌芽が強烈なほど誰の目にも明らかだったスポーツの祭典を
レニ・リーフェンシュタールへのインタビューや当事者への取材により、
沢木耕太郎が冷徹な目で描いた秀逸な作品。


・『クライムマシン』(ジャック・リッチー)
評価:AA

2005年の「このミステリーがすごい!」海外翻訳ミステリー部門で第1位に、
「週刊文春ミステリーベスト10」では第2位に輝いた短編集。

自らの信念に基づき14歳の少女を殺した
殺人哲学者の思わぬ末路を描いた『殺人哲学者』、
機上で隣り合った2人の女性の関係が
意外な事実を明らかにする『旅は道づれ』、
模範的な終身犯の仮釈放に尽力を尽くす審査委員の
隠された理由を炙り出す『記憶テスト』など
せいぜい5、6ページの短編ながら洒脱な切れ味は素晴らしいのひと言に尽きる。

一番好きなのは
迷刑事ヘンリー・ターンバックルの迷走を
コミカルに描いた『縛り首の木』。
ふと辿り着いたモーテルで幻想的に繰り広げられる
一連の出来事にターンバックルは無邪気にも・・・。

ユーモアで包んだ悪意、
シニカルな笑いを含んだ暗い情熱、
唸らせます。

<Now on Reading>
・『バルタザールの遍歴』(佐藤亜紀)
・『シンプル・プラン』(スコット・スミス)
・『夕陽が目にしみる 象が空を Ⅰ』(沢木耕太郎)
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by Worthy42 | 2008-03-23 10:47 | 一冊入魂(読書記録)
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