今週は目を休める「休眼日」を設けていたので、ほとんど読んでいません。
が、ひとたび書店を訪れると 読んでみたい本が溢れていますな。 『深海のYrr』の衝撃と余韻が、まだ脳内に重くのしかかっています、が。 ・『天使』(佐藤亜紀) 評価:AA 他人の記憶や考えを盗み見たり書き換えたりするとともに 簡単に殺めることのできる感覚能力を備えた主人公、ジョルジュ。 第一次世界大戦直前のブタペスト。 顧問官・スタイニッツに見出され、異能に磨きを掛けていくジョルジュは、 死と隣り合わせの任務をこなすことで、 異能者との熾烈な戦い、そして大戦の渦に翻弄されていく。 読んでいて筒井道隆の『家族八景』を思い出しました。 能力者同士の凄惨な戦いの描写は『家族八景』の方が好きですが、 戦争の渦中にあるという意味ではスケール感は『天使』の方が大きいような気がします。 時代背景の詳細な説明じみた描写がまったくと言っていいほどないので、 ある程度の時代背景に対する認識を持っていないと なにがなにやら分からないまま読了してしまいそうです。 ただ、これは解説で豊崎由美さんも書かれていますが、 敢えて簡潔な描写に徹して説明を排除した感がアリアリで、 読者にそれ相応の心構えを必要としている気がします。 ストーリが理解できない、話が飲み込めないのは、 読者の側に責任があるというわけで、 こういう「読者に媚びない」というか、「十分な前知識を強要する」姿勢に 作品に賭ける作家の心意気が見て取れて、私はとても好きです。 やはり、とてつもなく偉大な作家だな、と思います。 続編は『雲雀』なんですが、 次は『1809 ナポレオン暗殺』を読む予定です。 <Now on Reading> ・『1809 ナポレオン暗殺』(佐藤亜紀) ・『百年の孤独』(ガブリエル・ガルシア=マルケス) ・『キャパ その青春』(リチャード・ウィーラン、沢木耕太郎訳)
by Worthy42
| 2008-05-11 23:04
| 一冊入魂(読書記録)
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