今週の読了帳(05・19~05・24) その2

文芸は4冊。

サクサクっと読み進めましたが、
それぞれにいろいろ思わせるところがありました。

・『θは遊んでくれたよ』(森博嗣)
評価:A+

個人的な注目点は2つ。
今シリーズと前シリーズの接点はどこにあるのか、
そして、誰と誰が、どう繋がっているのか、ということ。

その関係性が徐々に見え出したというところでしょうか。

ま、もう新刊では今シリーズは終わって、
新シリーズは始まってるんだけど、
ゆっくりのんびり読み進めていくとします(笑)。


・『扉は閉ざされたまま』(石持浅海)
評価:A+

主人公である伏見亮輔が大学の同窓会で
旧友6人の中の1人を殺害して「密室」を作り上げた。

外部から部屋に入れないように偽装工作し、
扉が開かないまま事故死に見せかけた完璧なはずの計画が、
参加者の1人である碓氷優佳に1つ、また1つと見破られていく―――。

都合よく帳尻を合わせるかのようにまとめられた感はあるものの、
なかなか読ませてくれました。

個人的には殺人者の主人公には好感が持てました。
殺人の動機にではなく、その人生哲学に、ですが。

こういうピンポイント・ミステリものは
「なぜ?」の意識を排除して読み進めることが
楽しめる鉄則なのだなと思いました。


・『容疑者Xの献身』(東野圭吾)
評価:A+

福山雅治と柴咲コウ主演でドラマ化されていたので、
主人公の研究者、湯川がどうしても福山のイメージが強く植え付けられていて
作中の湯川との落差がありすぎて困ってしまいました(苦笑)。

さて、肝心の作品はというと、
中盤まではダラダラと中途半端な感は否めなかったのですが、
終盤は一気に読み耽ってしまいました。

もちろん、ある意味古典的なミステリでもあるんですが、
犯罪者・石神と湯川との友情交歓劇の側面も少なくなく、
作中の「彼に触るなっ」 「せめて泣かせてやれ」と石神を慮った
湯川のセリフに思わずもらい泣きしそうでした。


・『キャパ その青春』(リチャード・ウィーラン、沢木耕太郎訳)
評価:A

エンドレ・フリードマンの誕生から、
写真家、ロバート・キャパと改名し激貧時代から台頭するまでを追った、
キャパ三部作の第一弾。

不思議なことに、翻訳作品であるにもかかわらず、
はっきりと沢木耕太郎の空気が感じられます。

単行本に改訂したもので十分に時間を費やしたらしいが、
翻訳が初めてだというのが信じられないクオリティの高さ。

いや、しかし、沢木耕太郎のノンフィクション作品と銘打っても
それほど疑う人は多くはないのではないかという気がします。

ま、キャパ個人の印象としては
とんでもない見栄っ張りの嘘付きで無責任野郎にして、
同胞には意外に義理堅く、友人との情に厚い不思議な男というところでしょうか。

こう書いただけでも魅力があるのも当然だろうなと妙に納得させられます。

ちなみに、キャパの最愛の女性、ゲルダ・ポホリレスは、
バンディ(エンドレの愛称)がロバート・キャパと名乗ったのと時を同じくして、
ゲルダ・タローと改名しますが、
これは当時パリに住んでいたあの岡本太郎から借りたらしいです。

芸術は爆発、偉大なり、ですな。

<Now on Reading>
・『現代殺人論』(作田明)
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by Worthy42 | 2008-05-24 23:44 | 一冊入魂(読書記録)
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