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Game 4

Boston (3勝1敗) 97-91 (1勝3敗) Los Angeles

"Comeback for the ages" "Classic Comeback" などといった
ドラマチックな見出しが飛び交う、NBAファイナル史上最大の逆転劇。

20余年NBAを見続けてきて、
シーズンやファイナル以外のプレイオフではごく稀にあるものの、
ファイナルでとなると、とんと記憶がない。

それほど衝撃的な、大どんでん返しだった。

1クォーター終了時のスコアは、14(BOS)-35(LAL)。
最大で24点差がついていた。
しかも、この間、レイカーズの大黒柱、コービの得点はわずか、「3」。

不調だったオドムが序盤から攻撃的な姿勢を取り戻しスパーク、
ガソールもそれに続き、エースの活躍がなくとも大量のリードを奪った。

前の試合でディフェンスに活路を見出し初勝利を挙げ、
この試合で今度は不調だった面々が攻撃的に仕掛け、チームを鼓舞する。
さすが、名将、フィル・ジャクソンだなと感心した。

そんな優れた手綱捌きもあって、前半を終わっても18点差。
このまま終わっても、シリーズは2勝2敗のイーブン。
また第5戦で仕切り直しをすればいいじゃないか、
そんな打算が心の隅に生まれてもおかしくない状況だったが、
ボストンの選手達の心は、折れなかった。

以前、プレイオフのような短期決戦で大事なのは、
勝てる試合には必ず勝つことだ、と書いたが
試合に臨むにあたって最も大切な心構えは、「諦めない」ことだ。

10年ほど前のプレイオフの試合だったか、最終クォーター残り30秒から、
一人の選手が立て続けに8点を奪い逆転するという、とんでもない試合を見たことがあるが、
勝利を諦めてゲームを投げ出していたら、そんな奇跡は起こらなかった。

そして、今日の試合でも、ボストンには、
スターターでも控えでも、諦めムードに浸る選手はいなかった。

ピアースがハーフタイムにコーチに直訴したという。
「オレにコービをマークさせてくれ」と。
勝利を信じていなければ、発せられる言葉ではない。

そして、ボストンは後半に入って、徐々に武器であるディフェンスを激しくする。
結果として、後半24分間のレイカーズの得点は、「33」。
第1クォーター(12分)の得点よりも、2点少なく抑えるという驚異的なものだった。

ボストンは3クォーターで1ゴール差に迫ると、
最終クォーターの残り5分から底力を見せ付け、6点のリードを逆に奪う。

しかも、この間、というか試合の大半、
スターターのロンドとパーキンスが故障で出場できなかったにもかかわらず、
ベンチから出てきたハウスが逆転シュートを決め、
同じく控えのポージーも試合を決定付けるスリーを沈めて、
2人の穴を埋める以上の活躍を見せた。

レイカーズは残り数十秒で3点差にまで迫ったが、ボストンは最後の攻撃で、
アレンのマークがディフェンスの不得手なブジャビッチだったことから、
ボール保持者のアレン以外の選手が四隅に離れ、
アレンに1ON1をさせるためのスペースを作る。

これが見事に奏功。
アレンは瞬く間にブジャビッチを抜き去り、
軽やかに簡単なレイアップを沈めて、大逆転劇を完成させた。
(これはレイカーズの致命的なミスだった)

コービーは19本シュートを放ったものの13本を外し、わずか17点。
前半チームを牽引したオドムとガソールも、それぞれ19、17点に終わった。
控えの総得点も15(ボストンの控えは計35点を挙げた)。

第2戦で驚異的なカムバックを果たしながら敗れたロサンゼルスと、
同じような大量リードを挽回し、しっかりと逆転勝ちを収めたボストン。

両チームの実力差が如実に露呈された一戦だった。

これでボストンは3勝1敗とし、優勝に王手を掛けた。
追い込まれたロサンゼルスはスタメンを入れ替えるなどの心機一転策が望まれるが、
これといった勢いのある若手も、経験豊富な頼れるベテランも不在なのは痛い。
本来のスタイル――アップテンポな点の取り合いに持ち込めるかどうかが鍵になる。

ボストンは序盤が勝負。最終戦の第7戦のつもりで望まなければならない。
王手に油断をしていたらあっという間に足をすくわれる。
勝利の女神はボストンに微笑むことを決めたわけではない。

NBAファイナル史上、1勝3敗から勝ちあがったチームはない。

これまでの強さを遺憾なく発揮できれば、
結果はおのずと付いてくると歴史は語っている。

さて。
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喜ぶに値する勝利ではある。だが、まだ、あと48分残っている。
by Worthy42 | 2008-06-14 10:58 | バスキチ(NBA)
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