今週の読了帳(09・22~09・28)

Lance Armstrong の自伝『It's Not About the Bike』 を読了。

ノルウェー・オスロのモダンな書店で購入して以来、
足かけ5年、ようやく読み終えた。

ペーパーバックで300ページ弱と決して長編ではないが、
気分が乗らないとなかなか読む気にならないので随分と時間がかかってしまった。

その間、この本ほど旅をした一冊はない。

オスロの学生寮で、ハンブルクへと戻る機内で、
ザールブルッケンへと向かう電車の車内で読み続け、
そして、大阪・空堀町のカフェで最後のページを閉じた。

その5年という間に、ランス・アームストロングは、
超人的な7連覇を達成して引退、つい先ごろ、現役復帰を発表した。
本文中に出てくる愛妻とはその後離婚し、
歌手シェリル・クロウと婚約したが、破局した。

なにせ、5年である。
私にだって様々な変化が訪れた。

あの頃、本の中の対象でしかなかったサイクリングは
今では私の生活に欠かせない大切な趣味のひとつとなっているし、
ツール・ド・フランスを筆頭とする三大ロードレースを
いつの日にか必ず見に行きたいと思うようになっている。

そんな懐古の情に流されそうになるほど思い出深い1冊だが、
内容は生い立ちからツール・ド・フランス2連覇を果たすまでをまとめたもので、
もちろん、自身が侵された癌の闘病記という一面も持っている。

実は、最悪の場合、生存率がわずか3%だったとされる難病、
それに伴う苛烈な化学療法を克服した経験に裏付けされる精神的な強靭さは、
一介のロードレーサーには太刀打ちできないだろうと思わせるほど圧倒的だ。

「なぜ、自分は生かされたのか」

そんな思いを胸に、その答えを漕ぎ続けるペダルに求める男は
一人、別の次元で走っていたのではないかという気さえして、
驚異的な強さの源をどうしてもそこに求めてしまうのも強ち間違いとは言えないだろう。

この本にはロードレーサーというよりも、
押し寄せる死の恐怖と向かい合った人間ならではの名言が溢れている。

"To be afraid is a priceless education."

"The definition of courage is the quality of spirit that enables one to encounter danger with firmness and without fear."

今も癌と闘う人びとの広告塔であり、励みである男の矜持に満ちた一冊だ。

<今週の読了帳>
・『It's Not About the Bike』(Lance Armstrong)
(邦題:『邦題:ただマイヨジョーヌのためでなく』
評価:AA+
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ちなみに、現在は2冊目に突入中(こちらは翻訳版)

<Now on Reading>
・『毎秒が生きるチャンス』(ランス・アームストロング)
・『私の翻訳談義』(鈴木主税)
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by worthy42 | 2008-09-28 21:49 | 一冊入魂(読書記録)
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