Book of the Year 2008 ノンフィクション

この1年で読んだノンフィクションはわずか23冊と少ないので、ランキングは7位まで。
とはいえ、フィクションと比べると、「当たり」の的中率が高く、
ベスト7を絞るのが難しかったので、なるべく「How to 本」は外すことにした。

①『聖の青春』(大崎善生)
②『ヴェネツィアの宿』(須賀敦子)
③『終わらぬ民族浄化 セルビア・モンテネグロ』(木村元彦)
④『将棋の子』(大崎善生)
⑤『オリンピア―――ナチスの森で』(沢木耕太郎)
⑥『ファイアハウス』(デイヴィッド・ハルバースタム)
⑦『もの食う人々』(辺見庸)


①と④は大崎善生の将棋ものノンフィクション。
特に①は近年のノンフィクション読み物でも傑出した作品。
元将棋雑誌の編集者らしく、将棋への愛情は深く、棋士を見守る目が優しく温かい。

②は一昨日発売の季刊誌「考える人」でも特集されている、
没後20年の稀代のエッセイスト(作家兼翻訳家でもある)。
この人の著作はこの1冊しか読んでいないのだが、
全集を買おうかなと思わせるほど、じんわりじんわりと心に響く。

③は旧ユーゴスラビアにおける民族浄化の実態を丹念に取材した1冊。
NATO空爆前後のコソボ紛争の凄惨な現実から目を背けることなく、
何度も現地に足を運び事実を追った、ジャーナリストとしての矜持に満ち溢れている。

⑤1936年のヒットラー政権下で開催されたベルリン五輪の実態と
五輪に参加した日本人選手たちの軌跡に、膨大な記録とインタビューから迫った一冊。
五輪のプレッシャーに負けて成績を残せなかった選手たちが
次大会での再挑戦を誓いながら直後に戦争に召集され、
そして、あっけなく散っていく様はとてつもなく悲しい。

⑥は9.11のアメリカ自爆テロの際に怪我人の救助に駆けつけた現場で
ワールドトレードセンターの倒壊に巻き込まれて死亡した消防士達に焦点を当てた一冊。
消防士特有の仲間との絆の強さ、家族との愛情の深さもさることながら、
やはり、彼らの「市民救助」に対する高い意識には胸を打たれる。
その高い救助意識ゆえに命を失ってしまったという紛れもない事実には言葉を失う。

⑦は辺見庸代表作の問題を抱えた世界各国の食生活ルポルタージュ。
食べるという人間にとって普遍的かつ本能的なはずの行為に、
国々によってどれほどの価値の差が生じているのかがよく分かる。
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by Worthy42 | 2008-12-31 18:10 | 一冊入魂(読書記録)
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