今週の読了帳(09・07~09・13)

とりあえず、来週末からの休暇中に読む本を決定。
移動と就寝の際に読むのが主になる。

テーマは特になし。
あえて言えば、しっとりとした読後感より、毒があって刺激が強そうな作品を選択。

・『やつらを高く吊せ』(馳星周)
・『清掃魔』(ポール・クリーヴ)
・『庵堂三兄弟の聖職』(真藤順丈)
・『フィーヴァードリーム (上・下)』(ジョージ・R・R・マーティン)
・『地獄のハイウェイ』(ロジャー・ゼラズニイ)

<今週の読了帳>
・『惨影』(マイケル・マーシャル)
評価:☆☆☆☆

前作『孤影』から随分と時間が経って待ち遠しく思っていたせいか、
予想以上に作品にのめり込んでしまった。

謎の殺戮組織「ストローマン」のとの死闘に巻き込まれて傷を負った、
元CIAのウォード、FBIのニーナ、行方知れずの元ロス市警のジョン。

しかし、前回逮捕したはずのストローマンの幹部が移送中に脱走し、
富裕層の若者らを集めて大規模な殺戮計画を画策する。

とある猟奇事件を契機に、ストローマンと三度対峙することになった3人は、
有史以来の底知れない闇に覆われた暗部を知ることになって・・・


この作品が異様な緊張感をはらんでいるのは、一種の復讐劇だからだろうか。
愛する者の命を奪われた人々が、どれほど復讐の炎を滾らせ続けることができるのか、
その炎は、結局、どこに(誰に)襲い掛かり燃やし尽くすのか、
孤独に身を窶してもなお哀しい復讐から抜け出せない人々の結末から目を離せないのだ。

作中、登場人物のの独白シーンが織り込まれているのだが、
なかなか味が出て興味深い。

通りの向かいの深夜営業の薬局で買ったアスピリンを貪り、何度もトイレで顔を洗ったが、
回復は最小限で効果も短かった。結局はぼうっとしたまま、
人生がずっとこんな調子じゃありませんようにと祈るしかない。
つまり、どっかのバーに座って、疲れた顔で、
誰かがおれを殺しに来ようとしてるんじゃないかと考え続ける人生だ。


猜疑心が厄介なのは、際限がないところだ。人と人とのつながりといった根本的な部分を
疑いはじめると、何も信じられなくなる。イラクの虐待の写真が衝撃的だったのは、
そこに写っていた行為そのもののせいではない。ベトナムでの残虐行為はさんざん記録されているし、
第二次世界大戦の捕虜収容所のこともよく知られている。中世には首を串刺しにしたり、
アジャンクールで騎士を焼き殺したりしたという話もある。ポエニ戦争ではローマ人とカルタゴ人が、
互いに相違を凝らした残虐行為を繰り返している。そういう行為は戦争にはつきものだ。
戦争は残虐なのだ。純粋にして単純。そうでないふりができるのは、貪欲さや、国家主義や、信仰心
という隠れ蓑があるからにすぎない。写真が衝撃的なのは、撮影という行為そのもののせいだ。
人々がそういう出来事を記録しようとし、ほかの人々もそれを見たがるはずだと考えたという、
その認識に衝撃を受けるのだ。犠牲者の写真や髪の一房を取っておく殺人鬼と、
どれほどの違いがあるというのか?



<ただいま読書中>
・『やつらを高く吊せ』(馳星周)
・『THE ROAD』(Cormac McCarthy)
・『ベストアンドブライテスト(上) 栄光と興奮に憑かれて』(デイヴィッド・ハルバースタム)
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by worthy42 | 2009-09-13 12:17 | 一冊入魂(読書記録)
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