シルバーウィーク前後の読了帳(09・14~09・27)

そんなに時間をとったつもりはないのだが、移動が多かったせいか、意外と読んだ。
ちなみに、私は旅そのものよりも、旅の途中の移動の時間の方が好きだ。
移動中は格好の読書の時間なので、この時間帯は同行者がいても、一心不乱に読む。
ほぼ無言になる。諍いが起きても無言になるのだが。


・『やつらを高く吊せ』(馳星周)
評価:☆☆☆☆

馳ファンとしては、これは馳の中ではラノベ(ライトノベル)ではないかと思うほど、サクっと読める。
ただし、人によっては吐き気を催すほどドギツイ表現や隠語のオンパレードで、
おいそれと手を出すのはやめておいた方がいいと、思わず忠告したくなるほど、
ハードコアポルノな描写が満載。

かいつまんで話せば、セックス中毒の淫乱女子高生に振り回され、
血も涙もない金貸しにいいように使われるスキャンダルハンターが、
魑魅魍魎が跋扈する政界と財界の大物たちの裏情報を探るうちに窮地に陥って―――。

モラルも正義も自由もない、欲望で脳を侵された自堕落で自業自得な男の物語なのだが、
どことなくからっとしたポップ感(もちろん、馳にしてはの意味で)が漂っているので、
読後感の後味は悪くない(くどいようだが、馳にしてはの意味で)。


・『清掃魔』(ポール・クリーヴ)
評価:☆☆☆

連続快楽殺人者が主人公という、あまりお目にかからないストーリー。
知的障害者のふりをして快楽殺人を続けるという、共感の欠片も抱けない男が、
自分のコピーキャットを追跡するという話なのだが、これまた何の感慨ももたらさない。

ただ、作中、一か所だけ、男として痛切に「痛み」を共有せざるを得ないシーンがある。
が、それだけ。「2007年ドイツ・アマゾンで最も売れたスリラー」の惹句が泣く。


・『庵堂三兄弟の聖職』(真藤順丈)
評価:☆☆☆☆

遺体を加工して製品を作り出す「遺工」を家業とする、とある三兄弟の話なのだが、
途中までは「第15回日本ホラー小説大賞大賞受賞作」であることを全く忘れる内容。

が、後半のスプラッター色濃い展開に、ページを捲る手を思わず止める。
人間が触れるのを躊躇われる「禁忌」な分野を扱う話なので、
身近な人の死に思いを巡らせてしまい、最後までおぞましさに似た嫌な感情がどうしても抜けない。
個人的嗜好としては、ゾンビ映画の方が断然とっつきやすい。

ただ、中盤以降、徐々に怒涛の展開が押し寄せ、なかなか読ませる。
「日本ホラー小説大賞大賞受賞作」という看板に偽りはない。


・『地獄のハイウェイ』(ロジャー・ゼラズニイ)
評価:☆☆☆

核戦争後の荒廃したアメリカをカリフォルニアからボストンまでペスト血清を届ける羽目になった、
荒くれ者で元極悪人ライダーの大陸横断SF記。

1967年度のヒューゴー賞受賞作だが、訳がどうにもこうにも古臭くて馴染めず。新訳を望む。


・『スクープ』(落合信彦)
・『男たちの伝説』(落合信彦)
評価:☆☆☆☆(ともに)

かなり久しぶりの落合信彦。
全巻コンプリートを目指した時期もあったが、近年は自己啓発本が多くてご無沙汰していた。

相変わらずのスケールの大きさ。骨太な登場人物たち。国際ジャーナリストならではの豊富な情報量。
そして、情報を基に20年前に作中のような国家的な謀略を描くという先見の明。
どれをとっても心から感心する。

今の国際政治をどうとらえているのか、どういう変遷をたどると考えているのか、
一流の国際ジャーナリストとしてのお考えを拝聴してみたい。


<ただいま読書中>
・『THE ROAD』(Cormac McCarthy)
・『ベストアンドブライテスト(上) 栄光と興奮に憑かれて』(デイヴィッド・ハルバースタム)
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by worthy42 | 2009-09-28 01:09 | 一冊入魂(読書記録)
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