漂う夜に

前々から行ってみたかった京都の有名な書店、「恵文社」を訪れる。
ここは、英国・ガーディアン紙の『世界の独立系本屋ベストテン』にアジアで唯一選ばれた書店。

海外に行っても、地元の書店(か、飲み屋)を当てもなく探してしまうほどの書店探訪家なので、
平静を装いつつも、「ついに来た~」と興奮指数がマックスに達する。

万感の想いで巡り巡ると、この店のカバーが欲しくなって、それだけの理由で文庫を購入。
が、購入したのは、『「噂の真相」 トップ屋稼業 -スキャンダルを追え-』(西岡研介)。
念願の粋な書店で購入したのがトップ屋の暴露本というセンスに我ながら呆れ果て、
さすがに「今日の収穫」と胸を張っても納得してもらえる自信がない。

京都らしい純喫茶「ソワレ」で休憩、スペインバルで小腹を満たした後、
知人から誘われていたフラメンコカフェでポルトガルの民俗歌謡・ファドを堪能する。

フラメンコとファドとの違いは、スペインとポルトガル、くらいの前知識しかなったのだが、
知人の情感あふれる歌声、ポルトガルギターとギターの奏でる繊細でもの哀しい音色に心地よく酔う。

わりと華やかな曲でも、どことなく絶えず哀愁を訴えかけてくるような響きは、
天に向かって吐いた吐息が、天に召すことなく、されど地に下ることも許されず、
ふわりふわりと漂い、停滞することなく移ろう、まるでジプシー然としているかのよう。

そんな諦めも希望も失望も歓喜もないまぜになったような歌風に包まれることで
結実した感情に翻弄されつつ、喉元まで出かかった言葉をバーボンで飲み下した。
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by worthy42 | 2010-02-07 23:47 | 情熱と怠惰の断片(日記的)
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