カテゴリ:一冊入魂(読書記録)( 148 )

Book of the Year 2010 フィクション

今年は読了した本が全部で50冊ほど。
一昨年、昨年から減少傾向が止まらない。

おそらく今年もこの傾向は続くであろうから
必然的に傑作や良作に出会う確率も減るであろうが、
できる限り今年も様々な分野の本に目を通していきたいと思う。

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①『永遠の0』(百田尚樹)
②『ワールド・ウォー・ゼット(World War Z)』(マックス・ブルックス)』
③『ミレニアム三部作(1、2、3)(上・下)』(スティーグ・ラーソン)
④『鯨の王』(藤崎慎吾)
⑤『獣の奏者(I)闘蛇編、(II)王獣編』(上橋菜穂子)
⑥『キリング・フロアー』(リー・チャイルド)
⑦『フランキー・マシーンの冬』(ドン・ウィンズロウ)
⑧『コフィン・ダンサー』(ジェフリー・ディーヴァー)
⑨『贄の夜会(上・下)』(香納諒一)
⑩京極夏彦(『鉄鼠の檻』『絡新婦の理』


1~5位までは割とすんなり決まった。

①は最近文庫本が出たのでおススメ。
多くは語らない。日本人なら是非読んでほしい。

ゾンビ好きには欠かせない一冊が②。
といっても生々しい戦闘シーンはあまりない。
それでも人間の業について考えさせられる。

昨今のスウェーデン初の良作ミステリの横綱が③。
シリーズ1よりも2、3が断然に面白く、
朝まで読み耽ったことを今でも思い出す。

深海の大鯨と人間との死闘を描いたのが④。
ベスト10の中ではもっともロマンを感じた一冊だった。

獣を操る奏者の少女の活躍と成長が微笑ましくも感動させられた⑤。
噂には聞いていたが、これほど心躍らされるとは。昨年の掘り出し物だった。
未読のシリーズ続編や番外編も楽しみ。来年もランクインするだろう。


6~8位は年末に読んだ海外ミステリ(ハードボイルド調)がランクイン。

⑥は元軍人が初めて訪れた田舎町で身に覚えのない罪で逮捕されたことに
端を発する、2000年発売のアンソニー賞受賞作ミステリ。
作中のある犯罪のスケールの大きさ(コロンブスの卵)に度肝を抜かれた。

⑦は、昨年も傑作『冬の犬』でランクインしたドン・ウィンズロウの秀作。
余生を愉しむかつての殺し屋が突如、命を狙われる。
その理由を探るべく過去を思い返すたびに、一歩一歩犯人に近づいていく。

日常生活の細部を大事にする元殺し屋の人物造詣が見事の一言に尽きる。
厳密に言えばミステリではないかもしれないが、
こういう初老の男になりたいものだなと思わせる人物描写が
ジャンルの壁を軽々と越えて秀作たらしめている。

大御所、ジェフリー・ディーヴァーの昔の作品が⑧。
大物を毛嫌いする傾向のある私には、初めてのディーヴァーだったのだが、
今までなぜ読まなかったのだと悔恨の情が沸くほどの完成度の高さ。
終盤のどんでん返しもなかなか堂に入っている。さすが、である。
これからもディーヴァー作品を読み漁ろうと堅く決心した。

⑨は人間の心理にスポットライトを当てた王道サイコミステリ。
よく練られているなあと感心しつつ、物語にグイグイ引き込まれた。

京極夏彦の2作品が10位にランクイン。
相変わらずのおどろおどろしさと面白さは一度知ったらやめられない。

現在も『塗仏の宴』を読んでいて、
その後編に当たる『塗仏の始末』も控えている。
今年も京極夏彦作品に引き込まれる一年になりそう。


ランク外の佳作:
『ハーモニー』
『戦国奇譚 首』
『狼たちの月』
『蒼き狼の血脈』
『ラスト・チャイルド』
『エコー・パーク』
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by Worthy42 | 2011-01-03 14:06 | 一冊入魂(読書記録)

Book of the Year 2010 ノンフィクション

ノンフィクションに関しては、去年よりは多く読んだように思うが、
今年は去年ほど仔細に記録していないため、記憶も定かではない。

①『Top of The World』(Peter May)
②『Born to Run, 走るために生まれた ~ウルトラランナーVS人類最強の”走る民族”』(クリストファー・マクドゥーガル)
③『ルポ貧困大国アメリカII』(堤未果)
④『「噂の真相」 トップ屋稼業 -スキャンダルを追え!-』(西岡研介)
⑤『天才 勝新太郎』(春日太一)
⑥『ルポ 電子書籍大国アメリカ』(大原ケイ)
⑦『チャンピオンズリーグ決勝 バルサ対マンU 「世界最高の一戦」を読み解く』(杉山茂樹)


①は、07-08シーズンを制したボストン・セルティックスの内幕を描いている。
オフにK.ガーネットとR.アレンを加えた経緯やチームがまとまるまで、
さらには、メンバーほぼ全員のボストン加入までを追っており、
ファンには垂涎の一冊。

②は、素朴に走るっていいなと思わせてくれる一冊。
「全米のランナーの走りを変えた」との宣伝文句に偽りなし。

前作に引き続き、アメリカの過酷な貧困状況を炙り出した佳作が③。
アメリカン・ドリームの裏側に目を向けるなら最適の一冊。

知る人ぞ知る「噂の真相」に勤めていた記者の奮闘記が④。
面白いだけでなく、人間味がとてもよく伝わってくる。

俳優・勝新太郎の軌跡を追ったルポが⑤。
その意外な人物像を知ることができるだけでなく、読み物としても読ませる。

⑥は、電子書籍大国、アメリカの現状を伝えてくれ、
日本ではうかがい知れない実情がちりばめられている。

⑦は、一昨年のチャンピオンズリーグ決勝のカードの詳細なレポート。
欧州最先端のトレンドが事細かに分析されてあって面白い。


今年は、サンデル教授の『これからの正義の話をしよう』等、
昨年市場を沸かせたものに手をつけていこうかなと思っている。
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by Worthy42 | 2011-01-03 12:55 | 一冊入魂(読書記録)

久方ぶりの読了帳(11・21~12・11)

今年もはや残り3週間。

年の瀬が近付くと色々と思いを馳せることが多いのだが、
読書に限れば、今年はあまり良作を読んでないかなという気がする。

昨年のこの時期は、良書ばかり読んだせいで、
ベスト10を決めるのに四苦八苦していた感があるが、
今年はこれだという作品が思い浮かばない。

ということで、年末くらいはしっかり腰を落ち着けて本と向かい合わねば。

とりあえずの年末年始に読破する予定はこちら。

・『フランキー・マシーンの冬(上・下)』(ドン・ウィンズロウ)
・『陸軍士官学校の死(上・下)』(ルイス・ベイヤード)
・『エコー・パーク(上・下)』(マイケル・コナリー)
・『地球の長い午後』(ブライアン・オールティーズ)
・『インパラの朝』(中村安希)
・『帝都物語』(荒俣宏)
・『塗仏の宴 宴の支度』(京極夏彦)
・『塗仏の宴 宴の始末』(京極夏彦)

これにずっと前に勝ったまま未読の2冊を加える。

・『ユダヤ警官同盟(上・下)』(マイケル・シェイボン)
・『ジェイクをさがして』(チャイナ・ミエヴィル)

ま、どうせ、この中の数冊しか読めないのであろうが、それでも、
こうして、「読むぞ」と心に決めておかないとなかなか読む気にならない。


<最近の読了帳>
・『反撃のレスキューミッション』(クリス・ライアン)
評価:☆☆☆

17年前にレバノンでのミッションに失敗して以来、
酒浸りになりホームレスへと身を窶した元SAS隊員の復活劇。
この分野での大御所的存在の著者なので、それなりに読ませる。


・『アフガン、死の特殊部隊』(マット・リン)
評価:☆☆☆☆

上のクリス・ライアンに影響を受けたという著者による、
海外現代版、七人の侍のような気がしないでもないミリタリーアクション。

元SAS隊員が世界各国の凄腕の特殊部隊員9人を集めて、
秘密裏にアフガニスタンのタリバンの根城を壊滅し、数千万ドルを奪うというもの。

設定はともかく、展開そのものは、上の作品よりはリアリティがあった。
それにしても、「元」凄腕特殊隊員の「現在」は、仕事の割には冴えない。

<ただいま読書中>
・『フランキー・マシーンの冬(下)』(ドン・ウィンズロウ)
・『When The Game Was Ours』(Larry Bird,Earvin Magic Johnson et.al)
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by worthy42 | 2010-12-11 12:17 | 一冊入魂(読書記録)

久方ぶりの読了帳(10・12~11・20)

ぼちぼち恒例の年末年始本、そして、2010年のベスト本を選定する時期。

アマゾンのポイント分で購入した本は以下の通り。

・『人類が消えた世界」(アラン・ワイズマン)

ここのところ、人類というか、生物の進化論に興味があるので(恐竜展にも行ってきた)、
今更ながら数年前のベストセラーを手に取った次第。

・『フランキー・マシーンの冬』(ドン・ウィンズロウ)

昨年、『冬の犬』で描かれた麻薬戦争を堪能したので、再び、ウィンズロウ本に期待。
とはいえ、あらすじやアマゾンの書評を読む限り、外れはなさそう。楽しみ。


そのほかに、最近、購入した本は以下の通り。

・『WHEN THE GAME WAS OURS』(Larry Bird, Earvin Magic Johnson etc)
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80年代のNBAを支え続けた両巨頭、マジック・ジョンソン(ロサンゼルス)と
ラリー・バード(ボストン)の2人が、学生時代から続いた長い苛烈なライバル関係や
現役生活について綴った共著本。

序章を読むと、人間性にも似た2人の筆致がとても興味深い。
感情を抑えたタッチで語るバードと、感情表現に富んだマジックの言葉。

(From Larry より抜粋)
We were Frazier and Ali. When I retired, people asked me about him
all the time. They'd say, "Is Magic okay? Have you seen him ?" Even more
than my own teammates. Nine times out of ten it was, "So what's Magic
doing ?"

(From Magic より抜粋)
When I go around the country, I always get a nice reception, especially in
Boston. The people tell their children, "You missed it. Larry and this guy here
put on a show. We used to hate this guy, but we respected him."

The love and respect I have for him is genuine. I've never met anyone else
like him.
That's because there's only one Larry Bird.
I'm proud to call him my friend.

今、25ページほど読み進めたところだが、互いについて語ったこの2人の言葉が、
互いが築いた関係と歩んだ道程を表わしていて、
懐かしさが胸にこみ上げてくるとともに、目頭が熱くなった。

所属した東西の伝統チーム間のライバル関係のなかでも向けられた互いへの敬意。
レブロンとウェイドにもこういう切磋琢磨する関係を構築してほしかった。

・『How Starbucks Saved My Life』(Michael Gates Gill)
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今日書店で衝動買いした一冊。
60歳代で解雇され、有能なエリートビジネスマンから文無しに転落して離婚。
すんでのところでスターバックスに拾われて人生の新しい意味を見出して・・・という、
実際にあった再生ノンフィクションもの。

ポップに惹かれたせいもあるのだが、これも最初の一文が気に入った。

This is the true, surprising story of an old white man who was kicked out
of the top of the American Establishment, by chance met a young African-
American woman from a completely different background, and came to learn
what is important in life.

実のところ、巷で話題の『これからの「正義」の話をしよう』の原書、
『Justice: What's the Right Thing to Do?』を購入しようかと思ったが、
『How Starbucks~~~』の表紙上に書かれた「The New York Times Bestseller」という
文字を見て変更。これまでの経験上、ニューヨークタイムズのベストセラーには外れはない。


それ以外に、今のところ、年末年始本用に興味のある本は以下の通り。

・『帝都物語』(荒俣宏)
・『異星人の郷』(マイクル・フリン)
・『時の地図』(フェリクス・J.パルマ)
・『地球戦線』(ジョン・リンゴー)
・『失踪家族』(リンウッド・バークレイ )
・『天空のリング』(ポール・メルコ )

文庫ばっかりなのは、本棚がこんなだから。
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各段、奥(裏)もびっしりで(雑誌は別)、すでに収まりきらない50冊ほど容量オーバー。
これ以上増やしたくはないので、今年は基本的には文庫サイズで攻める予定。

とはいえ、英語本や辞書は都度、購入しているので、
いい加減に本棚を追加しなければいけない。


<久方ぶりの読了本>
・『天才 勝新太郎』(春日太一)
評価:☆☆☆☆

人物ルポルタージュと言えば、沢木耕太郎しか頭に浮かばないのだが、
これはなかなかの力作。読ませる。

イメージに縛られていた勝新太郎の真の実像が胸に迫る。


・『語学力ゼロで8ヶ国語翻訳できるナゾ どんなビジネスもこの考え方ならうまくいく』(水野麻子)
評価:☆☆☆

方法は賛否両論あるだろうが、私がさっそく実践している技術もある。
質は厳しく問われるだろうが、その手は禁じ手と言うほどでもない。


・『ラスト・チャイルド』(ジョン・ハート)
評価:☆☆☆☆

アマゾン等で良作との評判に偽りない好作品。
主人公の少年の妹の誘拐に端を発する家族喪失物語なのだが、
妹を探し続ける少年の健気な奮闘と頑なな信念に心を揺さぶられる。


・『獣の奏者(I)闘蛇編』(上橋菜穂子)
・『獣の奏者(II)王獣編』(上橋菜穂子)
評価:☆☆☆☆☆

10歳の少女の成長物語なので、完全に兄(父)目線で読んでしまったが、
心躍る青春ストーリー(と呼ぶには過酷すぎるが)に浸ってしまった。
幅広い世代に読まれることを前提としているのか筆致もシンプルで読みやすい。
続編の(III)、(IV)、そして、外伝も読みたくなった。


<ただいま読書中>
・『反撃のレスキューミッション』(クリス・ライアン)
・『WHEN THE WAS OURS』(Larry Bird, Earvin Magic Johnson etc)
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by worthy42 | 2010-11-20 23:52 | 一冊入魂(読書記録)

久方ぶりの読了帳(08・24~10・11)

1か月以上ぶりの読了帳。

相も変わらず忙しく、日々慌ただしく過ぎていく。
読書の時間だけは何とか確保している。

今の仕事に就いて早丸三年を迎えようとしていて、
最近では課題と仕事との両立に時間を割く毎日。

三年たって今更ながら痛感するのは、
「読む」ことと「訳す」ことは、まったく似て非なるものなのだなということと、
一定の語学力を前提とすれば、必要なのはむしろ「日本語を書く力」であるということ、
読むスピードよりも、訳を書き出す(打ち出す)スピードの方が必要であるということ、
そして、新書で仕入れた知識だが、入力する(打ち込む)スピードを上げるためには、
入力する量を減らすことが確かに一番合理的であるように思われるということ。

英語は勿論のことだが、当たり前のように日本語の文章を読み(新聞、ネット記事)、
当たり前のように日本語の文章を書けるようでなければ(メールや報告書、企画書)、
この仕事はおぼつかない。

―――そんなことを考えつつ、いそいそと読書に勤しんでいる。

ぼちぼち年末年始に読み耽る恒例のまとめ買いの季節だが、
さてはて何にしようか、と、思案中。

アマゾンのプチ・ヘビーユーザなので、ポイントが2000円以上たまっていて、
何に使おうかとも悩んでいるところ。

最初は、Gary Shteyngartの
『Russian Debutante's Handbook』と『Absurdistan』、
Jonathan Franzenの『The Corrections』の3冊にしようかと決めていたのだが、
辞書にしようか、はたまた、和書にしようか、と揺れてきた。

<最近の購入本>
・『大聖堂(上・下)』(ケン・フォレット)
・『カラマーゾフの兄弟1(新訳)』(ドストエフスキー)
・『ジェイクをさがして』(チャイナ・ミエヴィル)
・『ルポ 電子書籍大国アメリカ』(大原ケイ)
・『インパラの朝』(中村安希)
・『希望難民ご一行様 ピースボートと「承認の共同体」幻想』
                        (古市憲寿 解説と反論 本田由紀)

<最近の読了帳>
・『わかりやすく<伝える>技術』(池上彰)
評価:☆☆☆

当たり前のことが丁寧に書かれている。私のように四六時中机に座って、PC
画面と文書とを見比べているような仕事には必須というわけではないが、
それでも「伝える」ということは、多かれ少なかれ重要なスキルであることを
改めて実感させてくれる。


・『ルポ貧困大国アメリカII』(堤未果)
評価:☆☆☆☆

アメリカの知られざる貧困ぶりを描いた前作『ルポ貧困大国アメリカ』第2弾。
教育、年金、医療、さらには刑務所までもが民営化されたが故の「地獄」と
言っても過言ではない過酷な世界が余すところなく描かれている。良作。


・『日本人へ  リーダー篇』(塩野七生)
評価:☆☆☆☆

そもそもの前提として、1500年以上前の西洋人の世界観や政策等で
現代の時事ネタを斬って、共通点や違いを見出して・・・なんて、
はたして意味はあるのだろうかという疑念を消せないでいるのだが、
それでもこの著者の『ローマ人の物語』のファンなので楽しく読む。
キリリと鋭い。


・『ルポ 電子書籍大国アメリカ』(大原ケイ)
評価:☆☆☆☆☆

私はネットで記事を読むのにはさほど苦労しないが、それでも、「書籍」となると、
眼精疲労ゆえに自ら白旗を上げるだろうと確信するほど、ネットで長時間の読み物は
耐えられない。それでも著者は、(ゆっくりと大事に育てていけば)、
電子書籍のシェアは確実に増えていくだろうと述べている。
そんなアメリカの最前線の電子書籍事情が、NY在住の文芸エージェント、
大原ケイさんによって綴られている。ホームページはBooks and the City


・『鉄鼠の檻』(京極夏彦)
評価:☆☆☆☆☆

拝み屋VS修行僧。
異様な舞台(寺)で対極に位置する者同士の対決は抜群に面白かった。


・『絡新婦の理』(京極夏彦)
評価:☆☆☆☆☆

シリーズが深まるにつれ、ミステリ感も増大。
京極堂、木場、榎木津ら主要キャスト(関口を除く)も見せ場も秀逸で、
どっぷりと京極ワールドに浸ってしまった。
とても流麗な日本語で書かれているのに、
読み耽っていると、無性に退廃的な気分にさせられてしまう。


・『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女(上・下)』(スティーグ・ラーソン)
・『ミレニアム2 火と戯れる女(上・下)』(スティーグ・ラーソン)
・『ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士(上・下)』(スティーグ・ラーソン)
評価:☆☆☆☆☆

『ミレニアム1』を読んだのは、昨年末だったか、
正直、様々な書評で賞賛されていたほどには面白くなかった。

だが、この夏に読んだ『ミレニアム2』と『ミレニアム3』には興奮させられた。
『1』で、主人公の一人、ジャーナリストのミカエルの命を救ったもう一人の主人公、
リスベットの出生と人格形成に纏わる秘密が『2』と『3』で明らかにされるが、
それは国家を揺るがしかねない30年に及ぶ陰謀の一端でしかなかった・・・。

敵、味方、様々な登場人物の心情が描かれているせいもあって、
感情移入がしにくいことこの上ないし(おまけに名前が判別しづらい)、
いささかご都合主義な感が否めない点が割とあるけれども、
それを差し引いても、物語の展開は劇的かつスピーディーで、
ぐいぐいと惹きつけられた。

ただ、『1~3』で4人もの女性とベッドを共にするミカエルの軽薄さと、
寝物語でも秘密を漏らさない堅い職業的良心とのギャップには笑わされた。

非社会的人格のリスベットや、編集長のエリカと言い、
主要キャストのぶっ飛び具合が潔くて良い。今年のベスト10に入る作品。


<ただいま読書中>
・『LIMIT<1>』(フランク・シェッツィング )
・『語学力ゼロで8ヶ国語翻訳できるナゾ どんなビジネスもこの考え方ならうまくいく』(水野麻子)
・『ラスト・チャイルド』(ジョン・ハート)
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by worthy42 | 2010-10-12 00:11 | 一冊入魂(読書記録)

久方ぶりの読了帳(07・27~08・23)

人生初の姫路旅。

否、旅というほどの遠い距離を移動したわけでもないが、
京都まで二往復(京阪なら三往復?)できるほどの運賃で、
予想以上に遠かったせいもあり、「旅」という二文字が強迫観念のように浮かんでくる。

実際には、前の日の昼にも同じ路線を通って手前の駅、伊丹に降り立っていたので、
それこそ、「旅」という感慨は湧いては来ないはずなのだが、
メインで訪れた場所が場所だけに、精神が高揚と虚脱を繰り返したのもやむなし。

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閑話休題。

移動中、読もうと持ってきた本は、池上彰氏の『わかりやすく<伝える>技術』。
だが、今回の移動には適さなかった。「旅」の道中に読むのは、やはり、精神を遊ばせる本に限る。

今は久々に京極夏彦に取りかかっているのだが、
こちらの本は重量がありすぎるので却下。雰囲気的にはぴったりだったのだが。

最近、注目している本は以下のとおり。

・『Russian Debutante's Handbook 』
・『Absurdistan』
・『Super Sad True Love Story 』 (以上すべて、Gary Shteyngart)
この作家については、ここで誉めてあるから。ちなみに日本ではまだ未訳とのこと。

・『ジェイクをさがして』(チャイナ・ミエヴィル)
・『大戦前夜(上下)―ポスリーン・ウォー〈1〉』(ジョン・リンゴー)
・『ラスト・チャイルド』(ジョン・ハート)
・『催眠(上下)』(ラーシュ・ケプレル)


<最近の購入本>
・『ルポ貧困大国アメリカII』(堤未果)
・『天才 勝新太郎』(春日太一)
・『わかりやすく<伝える>技術』(池上彰)

<久方ぶりの読了帳>
・『蒼き狼の血脈』
評価:☆☆☆☆

最近、漫画では『キングダム』に、ゲームでは『戦国無双』にハマっているため、
群雄割拠の戦国史というのに惹かれている。これはいわゆる「戦国時代」ではないが、
チンギス・ハーン亡き後のモンゴル一帯の戦史に燦然と輝く武将の話。
血沸き肉躍るというよりはじっくり読ませる感じだが、漢(おとこ)くさくてよい。

<ただいま読書中>
・『鉄鼠の檻』(京極夏彦)
・『日本人へ  リーダー篇』(塩野七生)
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by worthy42 | 2010-08-24 00:39 | 一冊入魂(読書記録)

久方ぶりの読了帳(06・13~07・26)

時間に追われていて読書記録を付けるどころか、
日々のメールの返信ですら覚束ない毎日だったので、
この1ヶ月、どんな本を読んだのか正確に思い出せない。

MOLESKINのBOOK JOURNAL(読書ノート)を購入さえすれば
ちゃんと記録を残すようになるのかどうか、我ながらちと怪しいところ。


先日、遠く離れて暮らす身内に「時間ができたからおススメの本を教えて」と言われ、
忙しさも省みず深夜まで「あーでもない、こーでもない」と悩みに悩みつつ、
自分の好きな本を人に薦めるということは、基本的に楽しい作業なのだということに気付く。

今回は「(後学のために)これを読んでほしいな」という些か「教育」めいたテーマにしたのだが、
それでも自分が読んで気に入った本を、読んだときに抱いた感想を思い出しながら、
あの人はどんなことを感じてくれるんだろうか、などと考えながら選ぶのはとても楽しい。

で、今回選んだ(貸す)のは次のとおり。

・『弥勒世(上・下)』(馳星周)
・『オーパ』(開高健)
・『ジャーナリズム崩壊』(上杉隆)
・『おわらぬ民族浄化』(木村元彦)
・『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』(佐藤優)


(もって行くのが手間なので)貸さないけど、おススメするのは次のとおり。

・『百年の孤独』(ガルシア・マルケス)
・『あなたに不利な証拠として』(ローラ・リン・ドラモンド)
・『Born to Run  走るために生まれた』(クリストファー・マクドゥーガル)
・『永遠の0 』(百田尚樹)
・『フラグメント 超進化生物の島』(ウォーレン・フェイ)
・『戦場の掟』(スティーヴ・ファイナル)
・『新世界より(上・下)』(貴志 祐介)
・『もの食う人々』(辺見庸)
・『聖の青春』、『将棋の子』(大崎善生)
・『深海のYrr(上・中・下)』(フランク・シェッツィング)
・『チャイルド44(上・下)』(トム・ロブ=スミス)


かつては書籍や新聞よりもマンガを愛読する人間だったので
いきなり翻訳本は積極的にはおススメしないが、
それでも気に入ったら読んでみると面白いよとは付け足すつもり。


<(覚えている範囲の)購入本>
・『日本人へ リーダー篇』(塩野七生)
・『性愛英語の基礎知識』(吉原真里)
・『語学力ゼロで8ヶ国語翻訳できるナゾ』(水野麻子)
・『差別と日本人』(辛淑玉、野中広務)

<(覚えている範囲の)読了本>
・『Born to Run, 走るために生まれた ~ウルトラランナーVS人類最強の”走る民族”』
(クリストファー・マクドゥーガル)
評価:☆☆☆☆☆

この炎天下の下でさえ、たまらなく走りたくなった。
「ニューヨーク・タイムズで32週連続ランクイン中!」
「amazon.com ユーザー評価で297人が5つ星」、「読めば走りたくなると話題」
等々の宣伝文句に偽りなし。


・『鯨の王』(藤崎慎吾)
評価:☆☆☆☆☆

全長50-60メートルに達する海の王様、巨大鯨と人間との係わり合いを描いた一冊。
『深海のYrr』、『海の底』にも言えることだが、海底ってのはロマンに満ちていい。
地球の7割を占める海に暮らす壮大なスケールの未知の生物との邂逅---
これほど人間が畏怖するとともに憧れる世界はない。


・『戦国奇譚 首』(伊東潤)
評価:☆☆☆☆

戦国時代の武士の名誉ある勲章、『首』に纏わる連作集。
登場人物は普通の人々だが、『ジョーカーゲーム』、『ダブル・ジョーカー』の戦国版といった趣。
現代人にも通ずる苦悩や意地、誇り、嫉妬といった精神構造が
血で血を洗う戦国時代にもそこかしこに見られるのは可笑しくもあり、悲しくもあって、
5~600年では人の精神など大して変わらないのだということが妙に生々しく感じられる。

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Moleskine の Journal Book。
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by Worthy42 | 2010-07-26 22:15 | 一冊入魂(読書記録)

最近の読了帳(05・17~06・12)

この2カ月ほど仕事や課題や検定で尋常ではない忙しさ。
睡眠時間を削りすぎたせいか、眩暈や立ち眩みに襲われる日々だったのだが、
ようやくひと段落。

うまい具合にワールドカップが始まったので、サッカー関連本を乱読している。

4年に一度の世界的な祭典なので日本代表だけを応援するのはもったいない。
個人的には、どんな競技でも一流と言われる選手のレベルの高い試合を見たいので、
日本代表の応援はそこそこにサッカー大国の試合をメインに観戦するつもり。
ということで、最近漁ったサッカー関連本は以下の通り。

・『Sports Graphic Number World Cup 特集号』
・『2010 南アフリカワールドカップ 体感マガジン』
・『考えよ! ―なぜ日本人はリスクを冒さないのか?』(イビチャ・オシム)
・『Sports Graphic Number World Cup Preview 1 and 2』
・『主将論』(宮本恒靖)
・『日本サッカー偏差値52  これじゃ番狂わせも起こらない!』(杉山茂樹)


<最近の読了帳>
・『主将論』(宮本恒靖)
評価:☆☆☆

02、06年のワールドカップに出場した元日本代表キャプテンが唱える主将論。
興味深かったのは、06年W杯で内部分裂したとされる日本代表に関して、
第1章の中で明かされた中田英寿とチーム、そして宮本との関係について。

さらに、第2章の「選手同士のコミュニケーションの取り方」という項で記された、
選手間での確認作業などを繰り返して「不安を取り除く」という表現。

以前読んだ元イタリア代表のファンタジスタ、アレッサンドロ・デルピエロのインタビューで
「偶然や運が介在する余地を減らすために必死で練習するんだ」というような内容を
読んだことを思い出した。

このスポーツならではの神の悪戯ともいうべき不条理に苛まされないようにとの
祈りにも似た共通の気持ち・・・とは大仰な物言いか。


<ただいま読書中>
・『Born to Run, 走るために生まれた』(クリストファー・マクドゥーガル)
・『The ROAD』(Cormac McCarthy)
・『世界犯罪機構 ―世界マフィアのボスを訪ねる』(ミーシャ・グレニー)
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by worthy42 | 2010-06-13 00:29 | 一冊入魂(読書記録)

先月の読了帳(04・05~05・16)

読書記録の更新は1カ月ぶり。

とはいえ、読書を怠っていたわけではなく、
遅々としてだが着実に読み進めては、目ぼしい本にはチェックを入れている。

<購入本>
・『Sports Graphic Number World Cup 特集号』
・『2010 南アフリカワールドカップ 体感マガジン』
・『ワールド・ウォー・ゼット(World War Z)』(マックス・ブルックス)
・『考えよ! ―なぜ日本人はリスクを冒さないのか?』(イビチャ・オシム)
・『千年、働いてきました ―老舗企業大国ニッポン』(野村進)

南アフリカW杯まで残り一月を切った。
ということで、今後はW杯関連の雑誌を読み漁ろうと思っている。

<今月の読了本>
・『高慢と偏見とゾンビ』(ジェイン・オースティン他)
評価:☆☆☆

「エレガント」なゾンビ本(笑)。
購入する必要はないよと言われて借りたのだが、その理由がよくわかる。
ただ、シュールな挿絵は必見。


・『ワールド・ウォー・ゼット(World War Z)』(マックス・ブルックス)
評価:☆☆☆☆☆

迫力ある帯に惹かれて購入した一冊。
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またまたゾンビ本(笑)。
ゾンビ好きとしてはやはり見逃せないだろうと、一目惚れで衝動買い。

中国で疫病が流行し、死者が蘇り、やがて世界中に蔓延していく。
何億という不死者が世界を跋扈するなかで、人類が取った行動は・・・。


局所的なゾンビ死闘ものかと思いきや、世界各地でゾンビと遭遇した人たちの回顧録という趣で、
期待していたおどろおどろしい凄惨な戦いの記録はほとんどない。

ただ、伝聞ならではの生々しさが非日常感をより一層際立たせる。
そして、このゾンビものの出色なところは、人の心に残す傷跡をも描いた点。

戦争で敵国の敵を撃つのではなく、
ゾンビに噛まれて不死者化する直前の友を撃つが故の痛み。

何百万ものゾンビの群れから逃れて態勢を立て直すべく、
何千、何万人もの無垢の人々を騙して生贄として捧げたが故の苦悩。

「人類対ゾンビ」の死闘に巻き込まれた人々の向かい合った地獄が
当事者の証言を基に余すところなく書かれた傑作。


・『よろこびの歌』(宮下奈都)
評価:☆☆☆☆

良作。高校生の再生と変化の物語。心が澄み渡りそう。


・『考えよ! ―なぜ日本人はリスクを冒さないのか?』(イビチャ・オシム)
評価:☆☆☆

読後、日本代表にもう少し期待してもいいのかな?と思うようになった。
信じることは強気かな、ということだろうか。


<ただいま読書中>
・『Born to Run, 走るために生まれた』(クリストファー・マクドゥーガル)
・『世界犯罪機構 ―世界マフィアのボスを訪ねる』(ミーシャ・グレニー)
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by worthy42 | 2010-05-17 00:23 | 一冊入魂(読書記録)

先週と今週の読了帳(03・22~04・04)

先週、京都で陶芸を体験したのだが、翌日から背中に痛みが。
一度治ったと思ったのだが、寝違えを契機に再度再発して未だに痛みが消えない。
ボーリングを2ゲームしただけで臀部の苛烈な筋肉痛に悩まされたのもついこの間。
同僚からは「若ジイ(=若作りしているけどできてないお爺ちゃん)」と呼ばれる毎日。


閑話休題。


ワールドカップまで3ヶ月を切って、ぼちぼち関連雑誌が出てきた。
手に取ってみると、どれもこれも同じつくりのような気はするのだが、
やはり全部集めてじっくりと読んで妄想に耽ってみたい。

ちなみに、クラブチームレベルでは、昨今のローマの躍進が凄くうれしい。
ルカ・トーニの復活も、イタリア贔屓の私には「希望の轍」に等しい。
あとはトッティがトップフォームを取り戻せるか否か、なのだが。


<今週の購入本>
・『Number 30th Numberが見たスポーツと世相 1980~2010』
スポーツグラフィック誌『Number』が今年30周年を迎えたということで、
その30年間を振り返る特集号が出たので即購入。
30周年記念版の割には頁も中身も薄いのは残念だが、
私自身のスポーツとの関わりを考えるいい契機になった。

・『Born to Run 走るために生まれた』(クリストファー・マクドゥーガル)
「NY Times紙で32週連続ランクイン中のベストセラー」、
「全米20万人の走りを変えた」、「アマゾンで約300人が5つ星評価をつけた」
といった大仰な帯の文字と目を引く装丁に目を奪われて購入。
不甲斐ない体の不調を見直すためにランニングでもするかな。


<今週の読了本>
・『チャンピオンズリーグ決勝 バルサ対マンU  「世界最高の一戦」を読み解く』(杉山茂樹)
評価:☆☆☆☆☆

サッカー関連本としては異例の10万部というバカ売りを記録した、
前作『4-2-3-1』に続く、杉山氏のサッカー新書第2弾。

杉山氏は学生時代に「Number」を愛読していたころからのファンで、
唯我独尊的で自己陶酔気味にわが道を行く書きっぷりが癖になっている。

前作はタイトル通り、当時隆盛を誇っていたスペイン産の戦術メインだったが、
この一冊は文字通り、昨季のCL決勝を思う存分に解析しましたよという内容。

一年の半分以上を取材で海外で過ごす杉山氏の魅力は、
なんといってもミーハー的な軽さとそれに相反するかのような鋭い慧眼。

数年前に男性ファッション誌のインテリア特集で氏のPOPな部屋を見て
これが40代の男の部屋か、と驚かされたほどの若々しいセンスが反映されていて、
文章は技巧に凝ることなく平易で分かりやすく、主張がつかみやすい。

対照的に、欧州の最先端を常に捉えている氏の情報感度の高さゆえ、
多くの国内ジャーナリストとは一線を異にする主張はまさに欧州基準。

本作でも最も唸らされたのは、スパレッティ政権下でダイナミックなサッカーを展開した
ローマの4-6-0(通称、ゼロトップ)を日本代表にも応用すべきだ、というもの。

引き気味の1トップの位置に配置した本来MF登録のトッティ役を、
日本代表では本田にやらせてみてはどうかと、氏は提言する。

あのシステムをこの段階で、クラブチームではなく代表チームに導入するのは、
時間的制約があるので難しいとは思うのだが、MF過多な日本の現状を考慮すれば、
一考に値する非常に有益なアイディアだと思う。
(もちろん、私がローマファンで、当時のゼロトップに魅了されたという理由もあるが)

見方によっては自己満足甚だしい欧州カブレと捉えられかねないので
好き嫌いははっきりと分かれる書き手だとは思うが、私は厚く支持する。


<ただいま読書中>
・『高慢と偏見とゾンビ』
・『The ROAD』

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小鉢とカフェオレボウル。完成は一カ月後。無心に近づける。

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京都・河原町の桜。純喫茶・フランソアを探していたら迷って呼び込みに声をかけられた。
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京都御所の桜。あいにくの雨だったが、桜は桜。淡くて儚くて憂いを誘うよう。
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by worthy42 | 2010-04-04 11:40 | 一冊入魂(読書記録)