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今週の読了帳(07・21~07・27)

私の中では今年はやはりボストンの年だという強い思いがあって、
夏休暇はボストンに行こうと計画を練っていたのだが、
お盆というもっとも航空運賃の高い時期に、昨今の燃料費の高騰もあって泣く泣く断念。
アメリカ1往復料金が7月のドイツ往復料金(※5年前)の3倍ってのは
いくらなんでも高すぎる。

で、徳島と熊本に行くことは決定しているのだが、あとは未定。
いずれにせよ、そろそろ「夏読本」を決めなければいけない時期です。

今のところ決まっているのは、ガルシア・マルケスの『百年の孤独』と、
ランス・アームストロングの『It's Not About The Bike』。

ま、要は長らく保留にしていたものを読もうということです。
『It's Not About The Bike』なんか6年ものだしね。

<今週の購入本>
・『NHK ラジオドイツ語講座』
以前受講を断念していたドイツ語講座に10月から通う予定。
テキストをざっと見ていたら辞書を引く必要がない程度には覚えてる。
ちなみに復習編の方のテキストの講師は
ドイツを始めて訪れたドイツ語研修旅行の担当講師の1人。
当時は別の大学にいらっしゃったのだが、世間は狭い。


<今週の読了本>
・『グリズリー』(笹本稜平)
評価:AA-

なかなかの野心作。好きだね、こういうの。
テロを企てるものと、それを阻もうとするもの。

それぞれの登場人物にはそれぞれの事情もあるが、
最後の最後で彼らの「何か」が十分には描ききれていない気がする。


・『凍える森』(アンドレア・M.シェンケル)
評価:A+

2007年度ドイツミステリー大賞受賞作。
1920年代に実際に起こったドイツ犯罪史上最も残虐な未解決事件をモチーフ。

子供を含めて6人が惨殺された事件の関係者の証言で綴った
ドキュメンタリースタイルがドイツでは斬新だと評価されたらしい。
警察官の質問と関係者の解答のみで語られる恩田陸の『Q&A』を思い出した。

読んでいくにつれ、おぞましい世界がそこに存在したことが明らかになる。
映画化すればホラーテイストになりそう。


・『将棋の子』(大崎善生)
評価:AA+

詳細は書評ブログで。

大崎善生特有の「泣かそう泣かそう」という意識が行間に溢れて食傷気味だが、
それ以上に「将棋世界」の元編集長としての矜持と将棋界に対する思いは強く厳しく温かい。

内容は想像以上に衝撃的。

幼い頃から自分と両親の人生まで捧げていた将棋の世界から
年齢制限のために去らなければならない。
26歳で将棋のプロとしては生きていけない烙印を押され、
何の経験もないまま社会に放り出された無数のかつての怪童たち。

現在4冠とかつての勢いを取り戻しつつある羽生が
勝利を確信した瞬間に駒を取る手が大きく震える理由が今なら分かる気がする。

羽生は知っているのだ。

この勝利を決定付ける一手が、
将棋人生を決定付ける運命の一局に敗れた無数の屍の上に立っていることを。


・『凍える島』(近藤史恵)
評価:AA

昨年、自転車レースの内幕をミステリ仕立てにした『サクリファイス』で
「このミステリがー凄い!」大賞にランクインした近藤史恵の他の著作のなかで
もっとも評価が高いと知ってずっと読みたかった作品。

帯の惹句からライトノベルかなと思いきや、
いやはや、なんとまあ本格的、というか古典的な作品。

無人島、密室殺人、閉鎖された空間で次々と死んでいく登場人物、
まるで、そう、アガサ・クリスティの名作『そして誰もいなくなった』を髣髴とさせる。

動機には賛成できない。
だが、かなり好きなタイプの作品。

<Now on Reading>
・『第七の女』(フレデリック・モレイ)
・『千年の祈り』(イーユン・リー)
・『土曜日』(イアン・マキューアン)
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by Worthy42 | 2008-07-27 22:03 | 一冊入魂(読書記録)

隙がないわけではない

予想以上にオフシーズンも活発な動きを見せているNBA。
エースが移籍したチームが3つもあって、特にイーストは今季以上の激戦となりそう。

ロサンゼルスのもう1つの(弱い方)チーム、クリッパーズのエースPF、
エルトン・ブランドがフィラデルフィアに移籍。
さらに、インディアナのPF、ジャーメイン・オニールもトロントに移籍。
一番驚いたのは、ゴールデンステイトのPG、バロン・デービス。
ブランドが抜けたクリッパーズに移籍。

クリッパーズはもう1人の主力、コーリー・マゲッティも当のゴールデンステイトに放出し、
デンバーからマーカス・キャンビーを獲得するなどチームを大改造中で、
来季は今季とまったく違ったチームになる。

それにしてもフィラデルフィアとトロントは大躍進の可能性大。
イースタンの勢力図を劇的に変えそうな気がする。

特に全米五輪代表のクリス・ボッシュというPFに、
全く同じポジションのオニールの並ぶフロントラインは、脅威の一言。
(怪我さえ完治すりゃオールスター常連の)オニールの復活次第だけど。

さて、ずっと前の話ですが、北京五輪の全米代表が決定。

カーメロ・アンソニー(SF)
クリス・ボッシュ(PF)
カルロス・ブーザー(PF)
コービ・ブライアント(SG)
ドワイト・ハワード(C)
レブロン・ジェームス(SF)
ジェイソン・キッド(PG)
クリス・ポール(PG)
テショーン・プリンス(SF)
マイケル・レッド(SG)
ドゥウェイン・ウェイド(SG)
デロン・ウィリアムズ(PG)

現役世界最高PGのポール、ライバルのウィリアムズ、ベテランのキッドを加えたPG陣、
今やNBAをリードする花の2003年ドラフト3人衆(レブロン、カーメロ、ウェイド)に、
世界最高の点取り屋であるコービ、ピュアシューターのレッド、
ディフェンス名手のプリンスのSG、SF陣も間違いなくベストチョイス。

欲を言えば、PGに勝負強くディフェンスも上手いビルアップス、
SFに今季ファイナルMVPのピアースも加えたいところだが、それは贅沢な悩み。
実際に、現メンバーでもこの3つのポジションに関しては付け入る隙は微塵もない。
「無敵」、あるいは「最強」と断言してもいい。

問題は4番と5番。

ブーザー、ボッシュともオールスター常連のリーグ屈指の中堅PFだし、
ハワードがリーグ1、2を争うセンターであることは確かだが、
前述の1~3番と比べると、如何せん、迫力に欠ける。

その理由は両ポジションともカバーできる、リーグ1、2のPFにして、
NBAの「顔」ともいえる2人がメンバーに名を連ねていないから。

ケビン・ガーネットと、ティム・ダンカン。

上記3人ほどの若さと勢いはないが、
安定感と土壇場での勝負強さ、ディフェンスでの存在感、
何より、豊富な経験は圧倒的。

この2人を欠いては画竜点睛もいいところだ。
逆に2人が入っていれば、初代ドリームチームを凌駕するほどの
チームになっていたのではないかといやがうえにも期待は高まるのだが。

2004年のアテネ五輪も、2006年の世界選手権も、
アメリカ代表は決勝にさえ進めなかった。

バスケット(というよりNBAそのものの)のグローバル化に伴い、
かつて圧倒的だったアメリカの優位は揺らぎ、もはや逆転したなんて言う人さえいるが、
私見だが、それはあくまでベストのメンバーを揃えていないからという理由に尽きる。

今回はベストに限りなく近い面子を揃えた。
米大陸予選ではアテネで金メダルに輝いたアルゼンチンに約30点差をつけて一蹴した。
調子は上々のようで、「敗者」からのスタートだけに油断もなさそうだ。

だが、「最強」のメンバーではない。
ただそれだけで、他の国には付け入る隙が生まれる。

アメリカの金は堅い気がするが、一波乱あってもおかしくない、と私は見る。
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by Worthy42 | 2008-07-20 23:31 | バスキチ(NBA)

今週の読了帳(07・14~07・20)

読んでも読んでも、読みたい本が次々出版される。

新刊翻訳書だけでも、
・『第七の女』(フレデリック・モレイ)
・『ブラックジュース』(マーゴ・ラナガン)
・『ポドロ島』(L.P.ハートリー)
・『ザ・ロード』(コーマック・マッカーシー)
・『バートルビーと仲間たち』(エンリーケ・ ビラ=マタス) などなど。

読みたい本さえ読み尽くすことができない人生なのか、
なんて大袈裟に悩んでしまいそう。

とはいえ、図書館から借りてきた本がまだ残っているので、
今週は購入は自重しようと思っていた・・・のだが、
ふと見つけてしまった2冊に心惹かれて。
文庫だとガードが格段に甘くなります。

<今週の購入本>
・『凍える森』(アンドレア・M.シェンケル)
2007年度のドイツミステリー大賞受賞作(この帯の惹句に惹かれた)。
ちなみに2008年度も続けて受賞したとのこと(史上初らしい)。
どうやらこれは今、翻訳中のよう。楽しみ。

・『将棋の子』(大崎善生)
第23回講談社ノンフィクション賞受賞作。
目下のところ、マイブームが将棋。本格的に勉強しようかと思案中。
ちなみに、大崎善生といえば、学生時代に著作を読んで泣かされた作家。
後にも先にも本を読んで大粒の涙をこぼしたのはあのときだけ。
『アジアンタムブルー』だっけ? 個人的には『ドナウよ、静かに流れよ』の方が好きだけど。

<今週の読了本>
・『太平洋の薔薇』(笹本稜平)
評価:AA+

男のロマンチシズムに溢れた海洋冒険エンタメの傑作。
詳しくは後日、書評ブログで。

<Now on Reading>
・『白の闇』
・『生物と無生物の間』
・『グリズリー』
・『It's Not About the Bike』
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by Worthy42 | 2008-07-20 22:27 | 一冊入魂(読書記録)

Jazzy Lunch

ジャズを聴かせながら昼はカレーを提供するジャズバーを見つけブラリ。

たまたま手にしていた原寮のエッセイ本に
偉大なジャズミュージシャンであるセロニアス・モンクという人の記述があったので
気を利かせてくれた店員さんが彼の名盤レコードをかけてくれた。

なかなか粋なランチでした。

隠れ家的な場所ですが、通うことになりそうです。

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関西が生んだ焼肉芸人、タムケンがこんなところ(換気扇)に潜んでいるのもオツです。
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by Worthy42 | 2008-07-20 21:40 | 情熱と怠惰の断片(日記的)

NO-MORE

後に入社することになるスポーツ新聞社の筆記試験に
こんな問題が出たことを今でも昨日のように覚えています。

「問い:野茂英雄が所属したMLBの球団を所属した年代順にすべて答えよ」

当時で確か、6、7球団あったと思いますが、
残り1つの球団が分からずに「手強いな」と思ったことを記憶しています。

そんな試験の問いになるような侍は、名前のとおり、ヒーローでした。
彼の渡米という勇気溢れる英断とその後の前人未到の活躍がなければ、
今季の黒田や福留はもちろん、松井、そして、イチローの「今」さえも
なかったかもしれないのですから。

ただ、本人はこの引退という決断に「悔いがある」とのこと。

野茂のような数々の偉業を成し遂げた男を以ってしても、
未だ「悔いがある」というのは驚きであると同時に、
本人の誇りと戦う姿勢、そしてまだ折れない心の表れに違いないと、
なんという偉大な男なのかという思いを新たにしました。

奇しくもドジャーズ時代の最高の相棒(マイク・ピアッツァ)が
ユニフォームを脱いだわずか数ヵ月後に、
まるで後を追うように日本野球のパイオニアであるトルネードサムライも
一線から退いたのでした。

おつかれさまでした。
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by Worthy42 | 2008-07-19 01:30 | ひとときの残滓(スポーツ)

Classic Night

言いだしっぺだったので後にも引けず、
やりかけの仕事を来週に回してクラシックライブに。

バイオリン、チェコ、ピアノの3人だけで、
わずか5メートル先で演奏するという砕けたスタイルの生演奏。

が、久しぶりに聞き入ってしまいました。
音楽の力は偉大なり、です。

色鮮やかなで華やかなドレスに目を奪われ、
その奏でる楽器の音色に耳を酔わされ、
いつの間にやら心までもグイグイと掴まれていました。

それにしても、楽器とは不思議なものです。

いったい、いつの時代に、どんな人が、どんなことを思って発明したのでしょうか?
何をきっかけに人間の声以外の音を奏でるという発想に至ったのでしょうか?
原初期の楽器とはどんな役割を果たしていたのでしょうか?
そして、どんな変遷を遂げていったのでしょうか?

バイオリンの弦を弾く見事な指捌きを眺めながら
ゆっくりと更けていく夜とともにそんなことを考えたのでした。
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by Worthy42 | 2008-07-19 00:33 | 情熱と怠惰の断片(日記的)

ユーロ回想記

先月終了したユーロを見ていてもっとも驚いたことの1つは、
イタリア―ルーマニア戦のイタリアの「なりふり構わない」攻めの姿勢。

1-0で守り勝つことを最上の美徳とするお国柄で、
イタリアという国のサッカーは、本来、完全にリアクション型。
90分間、相手の出方をじっくりと見計らった上で
ワンチャンスをモノにして1点を挙げればいいというのが基本線。

が、この試合では開始直後から中盤が高い位置で構え、
ボールを奪取してはサイドバックが果敢に上がって、
中でどっしりと構えるトニを目掛けて再三再四パスを送るなど、
序盤から猛攻を仕掛けた。

通常のイタリアらしいスタイルや形などどこへやら、
PKだろうが、オウンゴールだろうが構わない、
何が何でも1点を奪ってやるという狂気さえ感じさせた。

初戦がここ10年でワーストな出来だったとはいえ、
これほどの遮二無二に攻めに出る姿勢は、
これまでのイタリアというチームを考えれば衝撃的なほどだった。

グループリーグ最終戦がフランスとはいえ、まだ第2戦に過ぎないのにも拘らず、
ワールドカップ王者とか、世界ランク1位といった肩書きに
安穏として胡坐をかいている様子は微塵たりともなかった。

もう1つ。

トルコ、ロシア(ともに準決勝進出)、クロアチア(準々決勝進出)。
今大会の3大サプライズチームに共通することといえば何でしょう?

正解は、「日本が過去のワールドカップで対戦したチーム」です。

2002年大会ではグループリーグでロシアに1-0で勝利し、
決勝トーナメント1回戦でトルコに0-1で惜敗、
2006年大会ではクロアチアに0-0でドロー。

つまり、好悪の諸条件はどうあれ、
3チームとの合計成績は1勝1敗1引き分け。

だが、この3チームとの差は、いまや広がるばかりという気は否めない。

今回のユーロに日本が参加しても同じようなサプライズをもたらすなんて贅沢な絵は
どう贔屓目に考えてもこれっぽちも思い浮かべることができない。
むしろ、3戦全敗が妥当で、得点も多分、FKから1点というとこだろう。

なぜ、だろうか。

クロアチアのボバンとスーケルという偉大な2人、
ロシアのモストボイとカルピンという英雄2人もすでに引退、
トルコだって代表を背負ってきたハカン・シュクルはもういない。
世代交代はどの国にも平等に訪れているのだが。

個人的には、日本がますます弱くなってきているというより、
他の中堅国のレベルアップの速度についていけてないという気がする。

王者ですらなりふり構わない手に訴えざるをえない致命的な危機に、
日本も一度や二度、晒されるべきだと思うんだが。

が、アジア最終予選はまたも楽な組に。
アジア枠なんざ最大2.5でいいのにね。

2年後のW杯でサプライズを起こせるという期待は、
今のところ、皆無だな。
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by Worthy42 | 2008-07-13 23:37 | レパバーンの夜に(サッカー)

今週の読了帳(07・06~07・13)

基本的にはその週に買った分は週末に目を通すようにしているので、
買いすぎた週末はあれもこれもと情報を詰め込み過ぎがちです。

先週から今週にかけては持病の偏頭痛(右側頭後部)に悩まされて、
おまけにいつもより長くかかってしまったんですが、
読んだ本はいつもより多いという恐るべき結果に。

安静にしているべき時期に睡眠時間を削ってまで文字を追ってたせいで
長引いてしまったのではという気もするので、自業自得ではあります。

今月末からはそろそろオリンピック関連本も出てくるでしょうから
活字に追われる時期(その後は映像にも)は続きそうです。

ちなみに2012年のロンドン五輪は両親が現地で観戦予定らしく、
時間があれば通訳役で同行するように頼まれているので、
今回の五輪がモデルケースにならないかなと考えてます(ま、ならんよね)。
正直、ロンドン五輪ではテロの危険性が小さくないので、できれば行きたくないんですが。

ぼちぼち、書評ブログを再開し始めています。こちら→ブックジプシーです。

<今週の購入本>
・『本の雑誌 8月号 特集:2008年上半期ベスト1』
2号続けて購入は初めて。改めて思うけど、本好きの人のための本ですね。
翻訳モノの購入には特に役立ちます。昨年度、ピューリッツァー賞に輝いた
巨匠、コーマック・マッカーシーの新作、『ザ・ロード』は買いかな。

・『週刊ダイヤモンド ポイントカード&電子マネー経済』
この雑誌、たまに読むんだけど、文章量がハンパじゃない。
ベッドに横になって読む就寝本にはちとキツイです。

・『Number Plus  ユーロ特集号』
やっぱり出してました、Number Plus。そうでなくちゃね。
複数の外国のライターが寄稿しているので面白い。
ユーロについてはまた今度。

・『Sports Illustrated』
メイン特集は"The Once and Future CELTICS from Russel to KG"
わずか4ページと意外と短かったけど、まあ、これはコレクション本ということで。
スポイラのハードカバー優勝特集本を購入するかどうか迷ってます。

<今週の読了本>

・『インド旅行記3』(中谷美紀)
評価:A+
正直、1、2、と巻を重ねるごとにマンネリ。
食傷気味ですが、それでも中谷美紀の人となりが垣間見えて面白い。
イメージと違う人だなあと思いました。

・『εに誓って』、『λに歯がない』(森博嗣)
評価:AA
森博嗣の本を読むと、理系脳で物事を考えているような気になります。
旧哲学系の学部で心理学を学んだ身としては違和感がないではないんですが、
ものの見方や捉え方に共通点が多いような気がするのは意外です。
キャラが立っている登場人物のほかに、
著者のこういったものの考え方、捉え方に、私は惹かれているようです。

・『もの食う人びと』(辺見庸)
評価:AA
各国の食の事情を追ったルポ。面白い。
特に前半は個人的な思い入れのあるドイツのトルコ人、
旧ユーゴに暮らす人びとの食を採り上げていて
過去の様々な感傷に浸ってしまった。が、後半からトーンダウン。
内容云々よりテーマ選定が個人的には今ひとつ不満。惜しい。
それさえなければ、AAAを挙げてたのにな。今度書評ブログに書きます。

・『顔のない敵』(石持浅海)
評価:A+
世界初の「対人地雷」ミステリ短編集。
地雷がテーマな鮮やかな推理モノですが、心がずしんと重たくなる一冊です。

他でもない日本の会社が対人地雷(対人地雷全面禁止条約に反しない地雷)を
自衛隊に納めているという話は虚構なのか現実なのか。
そもそも、自衛隊が専守防衛のためとはいえ、
海岸沿いに地雷を配置する可能性を検討しているという設定も・・・。考えさせられます。

・『アイルランドの薔薇』(石持浅海)
評価:AA
今まで読んだ石持浅海の本ではもっとも好きな1冊。
なんといっても、現実の北アイルランド紛争と政治状況を絡めて
物語を紡いだ著者の手腕は見事。

悲願のアイルランド和平実現を目前に控えた時期に
宿屋で武装勢力側のキーマンの1人が殺害される。
外部犯の可能性はなく、居合わせた宿泊客の誰かが犯人―。
そんななか、居合わせた日本人科学者が一人ひとりの齟齬を見抜いていき―――。

設定の強引さはご愛嬌、登場人物の造詣設定もいい、というか好きだ。
できれば続編を読みたいと思わせるのは、
それだけ描かれた人物が魅力に溢れているということ。
これが処女作品とは思えない完成度の高さ。

内容以外にも、少なくとも、アイルランドの紛争の歴史を
端的にまとめた数ページを読むだけでも価値はある。

・『イッツ・オンリー・トーク』(糸山秋子)
評価:AA
初の糸(←ホントは糸へん2つ)山秋子本。

元新聞社のローマ特派員だったものの、躁鬱病にかかり
精神病院に入院したあとに画家に転身した女性が、
蒲田に引っ越した朝から話は始まる。

引越しの朝、恋人にフラレ、再会した友人の議員がEDだと知り、
知り合った痴漢には身を任せ、鬱病ヤクザと飲み歩き、
ヒモのいとこを居候させて生活する主人公の波乱万丈な日常が、
独特な渇いた視点で描かれている。

個人的には好きなタイプの作品で、
病状ゆえ、些細なことに揺れながらもシンプルに生きようとする女性の姿に好感が持てる。

ちなみに、躁鬱病にかかったのは作者の実体験らしく、
症状の描写や服用する薬剤の説明が妙に生々しい。

タイトルは「ムダ話」という意味。
内容を考慮すれば、なかなか含蓄のある言葉。禅にも通じそう。
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by Worthy42 | 2008-07-13 22:26 | 一冊入魂(読書記録)

寝る子は見逃す

昨晩、ウィンブルドンテニスの男子決勝を見ていると、
第1シードのロジャー・フェデラーが「えっこれが王者のテニス?」と
思わず訝ってしまうような凡ミスを連発。

先日の全仏を制した第2シードのラファエル・ナダルが2セット連取して
第3セットも4-5からナダルのサービスゲームというところで雨で中断。

まあ、このまま再開を待ってもナダルの圧勝は揺るぐまい、
そう思い込んで待つのを諦め、いそいそと惰眠を貪った・・・のだが。

朝起きてネットで試合結果をチェックすると、
なんとフェデラーがマッチポイントに追い込まれながらも
第3、4セットをともに7-6でものにして、
最終セットも第16ゲームまで縺れる、ウィンブルドン史上最長の
5時間弱もの文字通り「死闘」となっていた。

結局、フェデラーは最終セットを7-9で落とし、6連覇はならなかったのだが、
あそこから巻き返すとは王者の意地だったのかな。
が、実は今季これまで無冠だと。知らなかった。
らしくないミスのオンパレードは自信の喪失が原因かと勘ぐってしまった。

一方、ナダルはクレーコート以外では四大大会初優勝。
しかし、躍動感あるよね、この人のテニスは。
野生児というか、カモシカのようというか。「スペインの牛若丸」と名付けたい(笑)。

ちなみに、現地の実況解説を聞いていたのだが、
やっぱり勉強になるなあ。

別次元の素晴らしいラリー合戦の直後に、
"This is iron will between two men." とか
2セットを失ったフェデラーに対して
"He's got mountain to climb" とか、

日本語で口にしてみればなんとはない文句なのだが、
白球を追いながら、咄嗟にはまだ出ないかなあ。

思わずメモを取ってしまったのでした。
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by Worthy42 | 2008-07-07 22:23 | ひとときの残滓(スポーツ)

2008年上半期ベスト5(映画)

1.善き人のためのソナタ

2.再会の街で

3.Once ダブリンの街角で

4.アメリカン・ギャングスター

5.ツォツィ

混戦。迷いに迷った。

ただ、アクション、ミステリ、ホラーと好きだった分野は
『アメリカン・ギャングスター』のみ。
大分、嗜好が変わったなあとしみじみ。

DVDになっている『サルバドールの朝』と
現在公開中の『告発のとき』(『クラッシュ』と同じ監督らしい)、邦画『相棒』ほか、
まだまだ観ていない注目作品がたくさんあります。
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by Worthy42 | 2008-07-06 21:46 | 銀幕に溺れる(映画ノート)