<   2010年 02月 ( 19 )   > この月の画像一覧

ジャズと占い師

病み上がりで迎えた休日、京都へ行く予定をキャンセル。
静養に努めようと思ったが、馴染みのジャズバーから
「店が移転したの」というメールをもらっていたことを思い出す。

先月の「エジプト料理で迎える新年ホームパーティー」も、
家がすぐ近所なのに仕事の都合で断っていたので、
空堀町のプレオープン中の店舗にいそいそと出かける。

カウンターで隣に座っていた初老の男性が、その道30年のベテラン占い師だと聞き、
思わず、彼の全身を横目で観察してしまう。
穏やかと言えば穏やかな雰囲気を纏ってはいるが、超然としてる様子でもない。


占い師、といえば、福岡・天神の新天町周辺に巣くう、妖怪のようなオバア様が忘れがたくて、
通りで椅子に座っているこの黒装束めいた老婆の前を通るたびに一種異様な雰囲気を嗅ぎ取ったものだ。

一度だけ、ほろ酔い加減ですれ違いざまに目を合わせたら、
感情を窺い知れない彼女の目に私の存在を拒絶されたような、私の思念全てを吸い込まれたような、
なんとも形容しがたい思いに襲われて、一気に酔いが醒めたのを覚えている。


今回の占い師にはこの時ほど感じ入るところがなかったので、
「どっちの方角に進めばいいのか訊いてもらったら?」と言われたのだが、
ありがたく辞退させていただいた。

今もご健在かどうかはまったくもって知らないが、
大阪を離れる前に今度手相でも見てもらおうと、
ジャズに耳を傾けながら、あの不気味な容貌に思いを馳せた。
[PR]
by worthy42 | 2010-02-28 20:38 | 情熱と怠惰の断片(日記的)

静寂の蒼穹

a0096546_10462163.jpg

光の色と肌理が記憶から消え去り、月が太陽に姿を変え、太陽が記憶に変わると、
視線はものの形よりも匂いが語りかけるものに惹かれ、目はものを見るよりも風の言葉に
耳を傾けようとする。
 夜が大地と空にしみこみ、人間の心と時間、それに記憶の奥にまで深く浸透して、
すべてを永遠に包み込んでしまうと、後は本能だけを頼りに進むべき道を見つけだし、
影の中を通り過ぎながら何の影か推測し、匂いと音が伝えてくる言葉を読み取るしかない。


彼女はもう耐えきれなくなっていた。折れた枝のように身体を二つに折ると、
ぼくを床に引きずり倒し、ぼくの目を黒い光で満たす。完全な夜。果てしない錯乱。
時間の蒼穹がぶつかり合う二つの川のように鈍い唸り声を上げてわれわれの上に落ちかかってくる。
ぶつかり合い、溶けあう二つの川。ぶつかり合い、溶けあい、そしてまた溶けあう二つの川。


外では、静寂が熟れた果実のように重く垂れこめている。雨までが来るべき悲劇を予感して
音を潜めているようだ。死の予感。


明け方洞窟に戻ると、静寂が洞窟の入り口までぼくを出迎えてくれる。静寂は通路を完全に満たし、
薄汚れた霧のように岩の亀裂やレダマの茂みの奥まで入り込んでいる。
 以前、ラミーロが生きていたころは、チラッと彼のほうを見るか、ひとこと言葉をかけるだけで
静寂を追い払うことができた。しかし、今ではこのじめじめした巣穴をふたたび、
そしておそらくは完全に支配している。静寂は時間の始まる夜からここにすみついている。
人の声では、その均衡を、山とぼくの心の奥に巣くっている静寂の深いうめき声を破ることはできない。
しかし、それに慣れるまでには長い時間がかかった。最初のうちは孤独の重圧に耐えきれず、
毛布の中でよく寝がえりをうったものだった。自分を待ち伏せている獣の吐息が
すぐそばで聞こえたような気がして、夜中によく飛び起きた。何度となく洞窟から飛び出して、
山の中を何時間もあてとなくさまよい、むだと知りつつ完璧な静寂がもたらす狂気から逃れようとした。
やがて、静寂が目の前にあって、いつも付きまとってくるが、これだけは避けようがないということを
少しずつ受け入れるようになった。少しずつ、彼、つまり静寂が今の自分に残された
たった一人の友達なのだということを認めるようになった。
 死を相手に長い戦いを続けている今では、静寂こそがぼくの最良の盟友なのだ。洞窟に戻ると、
静寂はまるで犬のように嬉しそうにぼくを入り口まで迎えにきてくれる。


―『狼たちの月』より
[PR]
by worthy42 | 2010-02-27 10:49 | 美句妙文礼賛(魅惑の文言集)

マイ・ニュー・ルーティン

会社も家もGoogle News をHPに設定し、
毎朝かつて勤めたスポーツ新聞社のHPの見出しを眺めては、
夜は決まってNBAとESPN、Sportsillustratedをチェック、
ってのが、ネットサーフィンの日課なのだが、
最近、とみにハマっているのが、この二つのブログとサイト。

おひとりさまの食卓

弁当パフォーマー・まさきちさんの弁当備忘録。
弁当や食事のメニューのヒントにしてますが、シニカルな毒舌口調がツボで面白い。
しかし、弁当作りって、まさに「継続は力なり」と思う。見習おうっと。

Books and The City

マンハッタン在住の文芸エージェント女史のサイト。
着眼点が新鮮。メディアに関係するコラムはとても興味深い内容ばかり。
この記事を読んで、NY TIMESの日曜日の書評欄をもう一度丹念に読もうと思い直した。
ちなみに、この女史も京都の恵文社を訪れたらしい。やるね、恵文社。
[PR]
by worthy42 | 2010-02-27 00:10 | 情熱と怠惰の断片(日記的)

Time to Leave

a0096546_0234924.jpg
It is not good, you're feeling fear.
It is not good, you're being coward.

You can see the reality.
That's all you want to do.

It's too sad, but there is no other way.
It's too hard, but there is no other way.

You can see the reality.
That's all you want to do.

By BRAHMAN
[PR]
by worthy42 | 2010-02-26 00:27 | 美句妙文礼賛(魅惑の文言集)

It's all about Motivation

「勝てないと思ったら、練習なんてできないだろう。ここは五輪だ。
 どんなことでも起こせると思っていたさ」

―――バンクーバー五輪男子1500mで金メダルに輝いたタイテルト(オランダ)

2種目制覇を狙ったあのシャニー・デービス(米)を脱帽させた30歳は、
2006年以降、W杯未勝利、全くの無印だった。

「起こる」ではなくて、「起こせる」ってところに、意志の強さを感じる。
[PR]
by worthy42 | 2010-02-23 22:46 | 美句妙文礼賛(魅惑の文言集)

今週の読了帳(02・12~02・21)

突然だが、『煙滅』(ジョルジュ・ペレック)が気になる。

なぜ気になるかといえば、このフランス人の作者はフランス語に必要不可欠な母音Eを一度も使っておらず、
翻訳者はそれに応えて、「い段」(=いきしちにひみりゐ)を一切用いずに全訳したからだ。
もうここまで何度「い段」を使ったことか。

『日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で』(水村美苗)並みに気になる。


<今週の購入本>
・『プロ野球スカウティングレポート』(小関順二)


<今週の読了本>
・『永遠の0』(百田尚樹)
評価:☆☆☆☆☆

太平洋戦争末期に戦死した凄腕のゼロ戦パイロットの祖父。
足跡を追う孫たちは、そんな祖父が仲間内から「臆病者」呼ばわりされていたことを知る。
「生きて帰る」を公言して憚らなかった祖父は、なぜ死んだのか。
かつての戦友に話を聞いて回るうちに辿り着いた衝撃的な結末とは―――。


史実と事実が必ずしも一致しないように、
この本で描かれる戦争に纏わる様々な「事実」を全て信用するわけにはいかないが、
戦争の悲惨さの一端を描き切った傑作であることは間違いない。

真珠湾で、ミッドウェーで、ラバウルで、そして、ガダルカナルで儚く散った多くの生命を思うにつけ、
戦争の究極的な悪は、人一人の命が権力者の面子や体裁を取り繕うためだけの「手段」に成り下がること、
つまり、戦闘そのものとは異なる次元で絶望的なほどに軽んじられることにあるのだなという、
そのあまりにも当たり前すぎる結論に達して、無性に涙が止まらなかった。

日本人なら知っておくべき、肝に銘じておくべきことが満載な一冊。


<ただいま読書中>
・『狼たちの月』(フリオ・リャマサーレス)
・『Top of The World』
[PR]
by worthy42 | 2010-02-21 20:30 | 一冊入魂(読書記録)

ことばとつぶやき

今更ながらなのだが、Twitter をつぶやいている人って意外に多いのね。

ニュースサイト、NBAのライター、Erykah Baduから、
挙句は高田純爺、岩谷テンホーさん、団鬼六先生までつぶやいてる。
団鬼六先生からは「これからもよろしゅうに・・・」というメッセージを頂いたし。


さて、まがいなりにも(間接的に)言葉を紡ぐ仕事をしているので、
目に飛び込んでくる言葉や耳に入ってくる言葉には我ながら敏感なほうだと思う。

自分の書く文章は脇に置いといて、新聞や雑誌の誤植を論うのはもちろん、
何気ない会話でも「ん?」「お~」などとすぐに反応してしまう。

この間、思わず笑ってしまったのが、この4つ。

・「ゲイゲイしい(男色的)」
・「ドマゾ(ドM)」
・「暇ップ(HIMAP)」
・「ヘネ公」

上二つはその道ではよく知られた言葉らしいのだが、
こんな言葉がごく普通の可憐な乙女の口から飛び出したのでちょっと驚いた。

下二つは口の悪い優男風な外大卒の同僚の言い回し。
上のは、たとえば、「自分、今、暇ップやろ」などと使うらしい。

「ヘネ公」とはヘネ○○○○○○という某国の同業者を揶揄したことば。
もちろん、基になったのは、「ポリ公」。

・・・。
[PR]
by worthy42 | 2010-02-21 12:33 | 情熱と怠惰の断片(日記的)

最期の星

a0096546_2341180.jpg


開いたドアからなだれ込んできた星が、驚いたような表情を浮かべて死んでいった男の
凍りついた目のところでいったん止まり、そのあと目の中に吸い込まれてゆく。

―『狼たちの月』より
[PR]
by worthy42 | 2010-02-20 23:10 | 美句妙文礼賛(魅惑の文言集)

Twitter

始めてみた(ブログ右欄)。

もっぱらニュースとバスケしかフォローしてないけど。
[PR]
by worthy42 | 2010-02-20 13:41 | 踊らない愚者(ニュース感想等)

Winter Shopping

オールスター直後の2月18日はシーズン内のトレード期限最終日。
今季終了後に契約が切れる大物がぞろぞろと控えていることもあって、
今年は期限直前の“駆け込みトレード”が多くみられた。

主だったところでは、なんといっても、現在8割近い勝率で首位を走るクリーブランド(43勝12敗)。
今季オフにレブロン・“キング”・ジェームズの契約が切れるため、
レブロンを引き留めるべく、絶対に優勝できる戦力をかき集めようと恥も外聞もない。

6年連続オールスターのA.ジェイミソンをイルガウスカス+αで獲得。
おまけにワシントンに放出したこのイルガウスカスはバイアウトされて、
1ヶ月後にクリーブランドに出戻る公算大。加えて、S.テルフェアも獲得。

実質的に既存戦力を失うことなく、他チームのエースを引き抜いたわけで、
前も書いたが、こういったやり方で戦力を肥大させるのは、阿漕に過ぎるし、節操がなさすぎる。

ただ、今季なんとしても優勝を狙いたいと意気込むチームがいる一方で、
ここ数年を捨てて、未来を見据えた戦力を整えたいと願うチームが存在するのもまた事実。
そういう意味では、クリーブランドはうまくやったと言えなくもない。

もし、私がクリーブランドのオーナーでも、レブロンを引き留めるためにはあらゆる手を使う。
まだ若い、世界で一番優れた選手をみすみす手放すなんて、正気の沙汰ではない。
そんな心情も分かる。だが、私は、金輪際、クリーブランドを応援しないことに決めた。

クリーブランドVSロサンゼルスのファイナルになったとしても、
私の仇敵、レイカーズを心の底から支持する。


タイトル・コンテンダーの中で、他に動いたのは、ボストンとダラス。

怪我の回復具合がおもわしくなく、かつての輝きを取り戻せないでいる
ガーネットに引きずられるように不振が続くボストン(34勝18敗)は、
三本柱の一人、アレンの放出が実しやかに囁かれていたが実現せず、
代わりに、優勝に貢献した控えの3Pシューター、E.ハウス等を放出して
今年のオールスターで3度目のダンクチャンピオンに輝いたN.ロビンソンを獲得。

ハウスよりも若く、爆発的な得点力もあるロビンソンだが、
ボストンのケミストリーに適合できるのか疑問視されている。
まして、代わりに放出されたハウスはムードメーカー的存在だったので、
すんなりとこれまで通りの活躍を見せられるかどうか。

とはいえ、ガーネット以外にも怪我で悩まされている選手が多いボストンにとって、
一人で得点を稼ぐことのできるアスリートタイプの若手選手は
多少のデメリットに目を瞑っても獲得したかっただけに期待は大きい。

ただし、このチームの基幹はディフェンス=ガーネット。
それが復活しなければ、どれだけ新戦力を補おうとも戴冠は遥か彼方。


一方、ダラス(33勝21敗)は、主軸ながら今季は怪我で出遅れていたJ.ハワード等を含む3人を放出して、
ワシントンからまさに同じタイプのC.バトラー等3人をゲット。

中盤からやや勢いに陰りが見えてきたダラスにとって、
これはなかなか期待させるトレードになりそう。

バトラーはハワードよりは堅実で怪我への耐性もある。
ここ数年、アリーナス抜きの弱小チームをジェイミソンとともに支え続けてきたので、
常勝チームでのプレイに期するところがあるはず。
チームのNo.2またはNo.3でこそ真価を最も発揮できるタイプの選手なので楽しみ。


王者・ロサンゼルス、昨季のファイナリスト・オーランド、
打倒ロサンゼルスの筆頭格・デンバー(今季LAには2勝0敗)は動かず。


ちなみに、昨日行われたオールスター後最初の2試合は、
仮想NBAファイナルと行っても過言ではない組み合わせで、
どちらの試合もファン垂涎の好試合だった。

ボストン ○ 87-86 ×@ロサンゼルス(ただし、コービ抜き)

デンバー ○ 118-116(延長) ×@クリーブランド(ただし、ジェイミソンは未加入)

とくに、後者の一戦は、まさに現在のNBAの顔役の同期2人による意地の張り合い。
互いが互いをマッチアップして点を奪い合う、非常にレベルの高い戦い(局地戦)で、
“This is the game of NBA” と胸を張って言えるような試合だった。

C.アンソニー(デンバー)/40得点、6リバウンド、7アシスト
L.ジェームズ(クリーブランド)/43得点、13リバウンド、15アシスト

Denver @ Cleveland ハイライト

にほんブログ村 その他スポーツブログ NBAへ にほんブログ村 その他スポーツブログ バスケットボールへ
[PR]
by worthy42 | 2010-02-20 12:11 | バスキチ(NBA)