ひたむきに、か

”奇跡”とか"魔物”とか、
一言で片付けるのは納得がいかないが
そうとしか形容しようがないのだからしょうがない。

7回までは打線はわずか1安打。
投手陣は10安打以上を浴び防戦一方のなか、
頼みの無失点エースがついに失点し、4点差。

練習時間の少なさという公立校ならではの(致命的な)ハンデを覆しての決勝進出。
準優勝でも「よくやったよ」との励ましは間違いないし、
いつ気持ちの面で切れてもおかしくはなかった。

8回裏の5点に絡んだ安打はわずか3(試合を通しての長打はホームランのみ)。
そのうち最初のヒットは飛んだ場所が良かっただけのボテボテのラッキーヒット。
押し出しを含め2四球にしても審判の判定に首を傾げたくなる場面もあった。

それでもあんなに劇的な勝利を収めてしまうのだから
高校野球はほんとに分からない。

あえて勝因を挙げるとすれば(こんなのは通常はありえないと思うのだけれど)、
アルプスの応援団だけではなく観客の多くを味方に引き寄せた、
彼らの「ひたむきさ」かと。

解説席に座っていた松坂と松井秀の高校時代の恩師の二人は、
その鉄壁の守備力には驚きと感心を隠せないでいた。

十数本の安打を許しては毎回のように何度も失点のピンチを迎え、
幾度となく強い打球を浴びながら
まるでマンガ『キャプテン』の世界のように
溜息が出るほど見事な守備を貫徹した。

強いゴロでも体を張って前に落として処理する、
プロでも手抜きしがちな守備の基本を内野手すべてが徹底していたところに
このチームに根付く野球に取り組む実直な姿勢と
限られた時間のなかで数千、数万のゴロを追ったひたむきさを偲ばせた。

そんなチームが耐えに耐えて迎えた千載一遇のチャンス―――観客は肩入れをしないではいられなかったし、異様な球場全体の盛り上がりは、突如ヒール役と化した投手から余裕を奪った。

ただ強いだけではなく、見る者の胸を打つ試合を見せてくれたご褒美かな。
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by Worthy42 | 2007-08-24 15:13 | ひとときの残滓(スポーツ)
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