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ミリオンダラー・ベイビー

ボクサーとトレーナーの絆は、
水ほど薄くもなく、血より濃いものでもない。

むしろ、「血」そのものなのだ。

その意味においては、
血を流せぬボクサーとトレーナーの関係は
もはや成り立っているとはいえない。

トレーナーが最高のカットマン(止血)を兼ねるならなおさらだ。

(以下、ネタバレ)

死闘の影響でもう二度と血を流せなくなった女性”ボクサー”(ヒラリー・スワンク)は
名カットマンでもある老トレーナー(クリント・イ-ストウッド)に最後の仕事を頼む。

トレーナーは苦渋の決断のうえ、彼女の願いを聞き入れ、実行に移す。

”止血”すると同時に、リングへとタオルを投げ入れ、
彼女の”戦い”を止めさせ、リングを去った。

もう二度と一緒にリングの上で夢を見ることができなくても、
二人は最後の最後まで徹底してボクサーとトレーナーとして戦い、
それゆえ互いの信頼は微塵たりとも揺らぐことがなかった。

骨の髄までボクシング人だった師弟の固い絆を描いた、
慟哭を誘うその内容ゆえに二度目を見るのが躊躇われる傑作。

ヒラリー・スワンクは同作で「ボーイズ・ドント・クライ」に続く、
2度目のアカデミー主演女優賞を受賞。

ミリオンダラー・ベイビー
/ ポニーキャニオン
ISBN : B000AC8OV0
評価:AA
by Worthy42 | 2007-09-24 22:15 | 銀幕に溺れる(映画ノート)
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