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リスクマネージメント

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この手の不祥事への対応策で、いつも、ほとほと思うことが二つ。

保身に汲々とするあまりに、
どうすれば最もダメージが少なくなるのか、
その発想があまりに貧弱。

もっともすべきは、会見で謝罪し、嘘をつかずに「あらゆる不正」を発表すること。

不祥事が発覚した時点で、マスコミは疑ってかかる。
「会社上層部は関与していなかった」なんて、もはや反語。

マスコミにいたから言うわけではないが、考えてもみてほしい。

全国紙・地元紙からテレビ局(報道・ワイドショー)、そして週刊誌まで、
合計して20~30近くのメディア媒体、50人~100人の調査のプロが
発覚時から疑惑の目を持ってあくせくと動き回る。

会社にはもちろん、役員の自宅や別荘、取引先にまで押しかけ、
質問やフラッシュを浴びせて、執拗なまでに不正の痕跡を嗅ぎ回る。

隠し通せると、どうして思えるのだろう?

一旦は否定し、小出しに謝罪するなんて愚の骨頂。
「まだあるだろう、もうひとつあるだろう」と決め込んで
未見のスクープを握とうする記者をますます奔走させる手助けでしかない。

概して、隠蔽工作をしていたり、特に、会見で嘘をついていたりすると、
「なめやがって」と、メディアは激しい攻勢をかける。
その激しさの分もあって、「え、またか」と世間へ与える印象も最悪だ。

だが、最初に膿を出しさえすれば、いくら探しても出てこない。

全ての不正を把握する時間が足りなかったならば、
早急に調査をしてその都度会見を開き、不正を逐一発表する。

週刊誌はそのうち、人格攻撃に変えるだろうし(それはネタがない証だ)、
まともなメディアでは関連記事も減って、下火になる。

もうひとつは、いかなる組織も一枚岩ではないということだ。

人は誰でも多分、正しく生きたいと思っている。
それが現実では難しいということもわかっている。

そんな中で、自分のしていることが明らかに不正であると世間で糾弾され、
しかも、事実とは異なり、不正の急先鋒として全責任を負うことを強要される。

同じ不正の釜で飯を食っていた仲間の裏切りに遭った人が
どうしてその重みに耐えられるだろうか。
どうして正しいことをしてやり直したいと思わないでいられるだろうか。

不正を働いていた企業は往々にして、
告発やリークに至る人間の良心を過小評価しすぎるきらいがある。


不正が発覚した時点で、否定や謝罪しても、ダメージは絶対に避けられない。
だが、ダメージを最小化することはできる。

その決断はもちろん大変だが、
一部の人間の保身しか念頭にないばかりに、マスコミや従業員を看過して
あまりにお粗末でかえって大打撃を被るような対応しかできない会社が多すぎる。

この手のニュースを耳にするたびに、
「リスクマネージメント」という単語を
知らないのだろうかと思わずにはいられない。
by Worthy42 | 2007-11-19 00:10 | 踊らない愚者(ニュース感想等)
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