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Back to 80's: The Classis Finals

ファイナルの組み合わせが決定。

ボストン・セルティックス VS ロサンゼルス・レイカーズ

ラリー・バードとマジック・ジョンソンというスーパースターに率いられ、
80年代のNBAを席巻した名門チーム同士の再戦は、実に21年ぶり。

が、ひとまず、東西のカンファレンス・ファイナルを振り返る。

<ウェスタン・ファイナル>
レイカーズ(4勝)○―×(1勝)スパーズ

スパーズにとっては予想外に早い敗戦だったと言えるだろうが、
チャンピオンらしからぬミスが目立ったこともまた確か。

個々の戦術や選手起用云々を説く以前に、
プレイオフを勝ち抜くためのマストな条件は、
「勝てる試合を絶対に落とさないこと」に尽きる。

初戦のアウェイ、第3クォーター残り5分の段階で
20点差のリードを保っていたにもかかわらず
そのリードを守りきれずに手痛い敗戦を喫するようでは
もはやチャンピオンチームとは言えない。

王手を掛けられた第5戦にしても
前半とはいえ20点近くのリードを奪っていたのだから
同じようなミスを2度も繰り返すようでは、早期敗退もやむなし、だ。

最低でも半分掴んでいた勝ち星を逃した初戦を確実に制しておいたのなら
その後の展開は劇的に変わっていただろうなとは確かに思う。
本来なら第5戦を迎えるときには、2勝2敗のイーブンだったのだから。

今のコービがアンストッパブルなのは周知の事実で、
ディフェンスの名手、ボーエンを以ってしても抑えるのは難しいのは自明の理だった。
だが、スパーズの三本柱の2人、パーカーとダンカンは
マッチアップするレイカーズの選手を上回る出来だったし、
特にダンカンはガソールを完全に圧倒していて、
未だにリーグナンバー1のPFの座をガーネットと争う、
非常に優れた選手であることを証明していた。

それだけに、三本柱の最後の1人、ジノビリが
不振(故障持ちだったとか)に陥ってしまったことが最後の最後まで尾を引いてしまった。

スパーズが唯一勝利した第3戦は、
ジノビリが爆発した唯一の試合(30得点)だったことを考慮すると、
このチームのエンジンでありキーマンであるのは、
ダンカンやパーカーでもなくジノビリだったことは明白だった。

いずれにせよ、勝負強いチャンピオンを第5戦で葬るとは、
どんな識者でも予想は困難だったはず。
そのことがレイカーズの今の勢いの表れでもあるのだが。

結局、スパーズの4度目の挑戦―――連覇は、またしても成らなかった。
だからこそ、来年のスパーズは恐いとは思うのだが。


<イースタン・ファイナル>
ボストン・セルティックス(4勝)―(2勝)デトロイト・ピストンズ

今季リーグの1位と2位の、事実上のファイナルともいえる両チームの戦いは、
4勝2敗の対戦成績以上に実に見応えがあるシリーズとなった。

デトロイトが制した第4戦こそ結果だけ見ると思いのほか点差がついているが(19点)、
それ以外の試合と同じように最終盤まで凌ぎを削る接戦だった。

相撲に例えれば、がっぷり四つに組み合った長相撲の果ての寄り切りというところか。

ボストンで大きかったのは、
依然として怪物じみた活躍を続けているガーネットはもちろんのこと、
セミファイナルで絶不調に陥っていたレイ・アレンがシュートタッチを取り戻したこと。
クリーブランドとのシリーズでの平均得点のほぼ2倍の得点を重ねた。

一方のデトロイトでは、
セミファイナルで怪我をし欠場していたビルアップスが復調したこと。
以前と変わらぬ輝きを見せ、際どい所での勝負強さを発揮したのは
「ミスタービッグショット」の名に恥じない活躍を見せた。

差を分けたのは、「ディフェンス意識の浸透」とだったのではないかと個人的には思う。

勝敗が決した第6戦の最終クォーター終盤、
ボストンのシュートミスを拾ったプリンスの背後から忍び寄りスティールし、
デトロイトが差を詰めるための決定的なオフェンスの機会を奪ったのは、
控えのジェームス・ポージーだった。

プリンスを筆頭にデトロイトのスタメンのディフェンスは確かにしぶとくいやらしいが、
ボストンのディフェンスは誰がコートに立っていても強烈。

「オフェンスは限られた選手にのみボールが回されるが、
ディフェンスならば自分も貢献できる」という意識が
ボストンの方がより多くの選手に浸透していたように見えた。

この手の精神論モノは大抵の場合、
試合の勝敗を決するような究極的な要素に成りえるようには見えないが、
ほんの些細な、逆説的だがそれゆえに、決定的な場面に顔を出す。

あの場面で背後からスティールを狙いに行こうという考えが浮かぶという事実が、
いかに日頃からディフェンスを念頭に置いているかを如実に表している。

ポージーはその直後、ガッツポーズとともにベンチに下がった。
その顔には自分の仕事を全うした者が見せる満足感が漂っていた。

ちなみに、敢えて言えば、もちろん、「優勝への渇望」もあるのだろうとは思う。

三本柱のガーネット、ピアース、アレンは、
10年以上のキャリアを誇り、プレイオフの出場試合数も50を超える選手でありながら、
ファイナルへ進出したことは、ただの一度もない。

かつて制した山に再び登攀しようと挑む者(デトロイトは2004年の王者)と、
10年近くの苦悶の果てに初めて未踏の頂に近づいた者(ボストン)との意識の差、
そう言ってしまえば、デトロイトの面々に酷過ぎるかな。

相手がボストンでなければ、
デトロイトは間違いなくイーストを制していた。おそらくはファイナルも。
それほどに高次元な死闘だったし、カンファレンス・ファイナルにはもったいなかった。
ルーキーのスタッキーは想像以上の収穫だったし、マクシールの未来も明るい。

ただ、それでも準優勝の翌年から、
3年連続カンファレンスファイナル敗退の事実は変わらない。
コーチのフィリップ・サンダースを代えるべきではないと思うが、
敗者には何らかのカンフル剤が必要なのもまた確か。
敗れし者の未来はいつも濁って見える。


実はいちばん応援していたのは、デトロイトでした。
スーパースターに頼らないチームつくりが好きなんですよね、昔から。
日本がお手本とすべき絶好のモデルでもありますしね。
だから、”ジョーダン・ブルズ”時代なんて、必ず相手のチームを応援してました。
これで、一番応援したチームが優勝できない歴、更新中です。残念ながら。

ま、ボストンは2番手だったんだけどね。3番手はフェニックスでした。

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断固たる意志、というやつですね。
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涙は敗者だけが流すものではないんですよな。苦節13年ですから。
by Worthy42 | 2008-05-31 23:22 | バスキチ(NBA)
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