ファイナル・サイド・ストーリー(下)

3人のなかでディフェンスを強調したのはガーネットだといいます。
激戦のウェストで多くの優秀なビッグマンと渡り合う中で、
ディフェンスの重要性を痛いほど痛感したせいもあるのでしょう。

これまで優れたディフェンダーとして認識されたことのなかった
ピアースとアレンまでもが目の色を変えて取り組んだそうで、
その真剣な姿勢がほかの選手を動かしたことは言うまでもありません。

バスケットでは、オフェンスは才能、ディフェンスは努力の賜物、と言われますが、
オフェンスの才があるスター選手が優勝のために、
率先してディフェンスの練習に励む様子を見せ付けられると、
NBAに生きる以上、控え選手たちも優勝の2文字を意識せざるを得ませんし、
その目標へと突き進むチームメイトに突き動かされないわけはありません。

こうしてディフェンスの苦手なスター(ガーネットは除く)が
率先してディフェンス力の向上を図ることで
選手全員のディフェンスへの意識が強化されるという珍しい流れで
近年では最強の誉れ高いディフェンスチームが誕生します。

一方、選手たちの努力に応えるように、
ボストンのフロントも彼らにしては珍しく有効な手を打ちます。
それが名だたるベテラン勢の獲得でした。

シーズン前にはジェームス・ポージー、エディ・ハウスを、
シーズン中にはP.J.ブラウン、サム・キャセールといった
オールスターに出るような選手ではないものの(キャセールは元スターですが)、
順に、ディフェンダー、シューター、リバウンダー、ポイントガードと、
一芸に秀でた、一癖も二癖もあるベテラン選手を次々と獲得します。

結果として、このベテラン勢の存在が、プレイオフ全般で決定的な意味を持ちます。

特にファイナルでは土壇場で3ポイントを何度も沈めたポージーはMVP級の活躍でしたし、
ハウスもボストンの大逆転劇となった第4戦で逆転のシュートを決めるなど、
その奮闘振りはベテラン選手がベンチに皆無だったレイカーズとは対照的でした。

負け組スター3人に、ベテランのロートル組、
そして、経験の浅い若手組(スタメンのロンド、パーキンス)が目的を1つとして
誰がコートに立ってもディフェンスへの意識が揺るがないほど強固なものになったとき、
念願のリングへの道が開けたのでした。


さらに、今回のファイナルがことさら注目を集めたのが、数々の因縁、巡り合わせです。
私がすぐに思い出せるものを以下に列挙します。

・ピアースはレイカーズの地元、ロサンゼルスの生まれ。

・ガーネットをドラフトし、手塩にかけて育て上げ、
そして最後にはボストンに手放したミネソタのジェネラルマネージャーは、
80年代のボストン黄金期の三本柱の1人で同じPF、ケビン・マクヘイル。

・そして、そのガーネットを譲り受けたボストンのジェネラルマネージャーは、
同じ80年代の黄金期の同僚にして闘将、ダニー・エインジ。

・ボストンのヘッドコーチ、ドック・リバースも、
80年代にボストンと凌ぎを削ったアトランタの名ポイント・ガード。

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"Brand New Green" は22年ぶりの優勝を果たし、
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ビル・ラッセルからなる勝者の系譜がケビン・ガーネットへと受け継がれたのでした。
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by Worthy42 | 2008-07-03 23:00 | バスキチ(NBA)
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