「好きな日本の作家は誰?」と先日訊ねられ、
咄嗟に頭に浮かんだのは次の4人。 馳星周、森博嗣、金子達仁、沢木耕太郎。 (実際は、木村元彦と佐藤亜紀の2人を加えたいのだが、 前者は著作が非常に少なく、後者は知ってまだ日が浅いため思い浮かばなかった) ノワール、ミステリ、スポーツライターに、ルポルタージュライターと 我ながらなんとまあ、雑食性の趣と半ば呆れる。 「その中で一番読んでるのは誰?」と問われ、 「たぶん、森博嗣」と答える。 全巻読んでいるのは金子達仁なのだが、如何せん著作が少ない。 「じゃあ、一番面白いと思った作品は?」とさらに喰らいつかれて、途方に暮れた。 一冊しか読んでいない作家の作品でも、忘れられないものがある。 逆にその作品以外に面白いと思うものがなくても、 その一冊がもたらす読後感が強烈であればあるほど忘れられない。 たとえば、ローリー・リン・ドラモンドの『あなたに不利な証拠として』、井上靖の『氷壁』、 川口マーン恵美の『ドイツは苦悩する』、辺見庸の『もの食う人びと」は前者に、 アーサー・ヘイリーの『ニュース・キャスター』、開高健の『ベトナム戦記』、 貫井徳郎の『慟哭』、ジュンパ・ラヒリの『停電の夜に』は後者に属するが、 どの作品も抗しがたい精神の昂揚をもたらしてくれたことを覚えている。 寡作でも、ほかのあらゆる著作が凡作でも、 たった一冊の傑作さえあれば、読者の記憶に長く留まるということだろうか。 そんな傑作であることを祈りつつ、最近気にかけているのは以下の4冊。 ・『9.11倶楽部』(馳星周) ・『決壊』(平野啓一郎) ・『冷血』(トルーマン・カポーティ) ・『20世紀の幽霊たち』(ジョー・ヒル) 注目は短編ホラー集『20世紀の幽霊たち』。 作者の新人作家ジョー・ヒルは、ホラーの巨匠、あのスティーブン・キングの実の息子。 『パラサイト・イブ』で名高い日本のホラー作家、瀬名秀明をして なんと「短編に関してはすでに父を超えた」と言わしめる実力の持ち主で、 さらに本作は「長年のホラー読者にとって本書は祝祭である。(中略)必読である」 とまで絶賛されている。 これは傑作のにおいがする。読まねばなるまい。
by worthy42
| 2008-09-25 23:34
| 一冊入魂(読書記録)
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